完全犯罪(かんぜんはんざい)とは、犯行の手口が社会的に露見せずに犯人が捕まらない犯罪を指す。推理小説やテレビドラマなどにおいて、犯行の隠蔽や題材の一つとして用いられ、主に知的なトリックを用いたタイプと、現実的な確実性を重視したタイプに分類される。

――Wikipedia「完全犯罪」より

 

 

先日道ばたにタンポポが咲いているのを見かけ、春の気配を感じたのですが、どっこい2月中旬、まだまださむい日がつづいていますね。うう~Francfrancで売っているラグマットみたいなぬくいパーカーとあたたかい飲みものが手放せない。

 

毎日こうも寒いとミステリー小説を読むのがはかどります。冬って無性にミステリー小説が読みたくなるんだよなぁ。正統派というか、もう、ゴリゴリに硬派なやつ。完全犯罪とか。ああいうのってトリックは複雑なんだけど犯人は意外にもどこにでもいるごく普通の人って感じで…って、ちょっと待った。

 

一般人に完全犯罪って考えられるの?

 

嘘のひとつも上手につけない私に完全犯罪を目論む犯人の思考回路がわかるわけがないので、逆に、日頃息をするように嘘をつく知人・わかばに訊いてみたところ「それなら一緒に完全犯罪を考えてみよう」と持ちかけられたのでミステリー作家必見の明日から即使える完全犯罪のトリックを実際に考えてみました。はたして一般人は本当に完全犯罪を思いつくことができるのでしょうか。乞うご期待!

 

 

 

〇〇の完全犯罪を考えよう!

麦
どんな完全犯罪を考えよう?

わかば
やっぱ、今〈怪盗〉流行ってるじゃん。

麦
うーん?まぁ流行ってるね。

わかば
怪盗ブームよ、今。

麦
ペルソナ5ですとか。

わかば
ルパンレンジャーですとか。

麦
世は大怪盗時代。

 

 

 

わかば
だから、強盗…泥棒?

麦
窃盗の完全犯罪を考えてみよう、と。

わかば
それ。

麦
なるほど。

 

 

 

予告状を出そう!

わかば
よくありがちなのはさ、こう、どっかのバカみたいな金持ち?が住んでるお城?あるじゃん?なんか山奥に住んでさ。

麦
ああ、豪邸ってことね。

わかば
豪邸かなんかに住んでるバカみたいな金持ちがさ、いるでしょ?んでそこに〈ナントカカントカ〉っていう高級な宝石があります、みたいな。ありがちでしょ?それを頂戴しに参上すると。

麦
予告状でも出すの?証拠は残さないほうがいいんじゃん?そういうところからボロが出るんだよ?

わかば
そっか。

麦
指紋とか消印とかさ。なんで郵送してんのか知らんけど。

わかば
いや郵送するでしょ山奥のバカみたいな豪邸に住んでるんだから。

 

 

 

麦
予告状出すのは絶対なの?

わかば
え、だってそれは怪盗のプライドにかけて譲れないでしょ。

麦
出さなければいけない?

わかば
じゃないとパレスの中のボスがあらわれないから。

麦
え?

わかば
パレスの中のボスがあらわれないから。予告状出さないと。

麦
一体どこのアトラスの話をしているんだ…。

 

 

 

 

すり替えトリックをやろう!

わかば
で、盗むときにね、思ったの。なんかよくあるじゃん。こう本物の宝石と偽物の宝石をすり替えていくみたいなさ。

麦
ああ~。

わかば
だけど偽物だとあとあとバレちゃうからさ、事前にもう1個さ、本物を持っておいてさ。

麦
(大爆笑)

わかば
その本物と盗もうとしてるやつさ、すり替えとけばさ、

麦
(大爆笑)

わかば
完全にバレなくない?

麦
バレないね。

わかば
(笑)

麦
だって本物なんだもん。

わかば
バレないよね。ほら。完全犯罪。

 

 

 

麦
どっから用意したの、その本物。

わかば
え?…え、なんか、買った。

麦
どこで?

わかば
え、ヤフオクとかじゃん?

麦
メルカリとか?

わかば
メルカリとかヤフオクとか使ったんじゃん?

 

 

 

麦
まがりなりにも怪盗を名乗る奴がメルカリ程度で買えるものを盗むな。

わかば
じゃあAmazonでいいよ!

麦
そういうことじゃない。

 

 

 

凄腕の職人をたきつけよう!

麦
〈ナントカカントカ〉は世界に1個レベルにしないとさ、しょうもな!って思われるじゃん、怪盗として。

わかば
じゃあ作ってもらったことにしよう。

麦
ん?

わかば
なんかすーごい凄腕の職人さんにさ、「この世界に1個しかないといわれている〈ナントカカントカ〉、あなたに、作れないんですかね…?(挑戦的な目)」

 

 

 

わかば
すーごい強面。すごいプライド高い職人さん。

麦
そのプライドの高い職人さん何者なの?

わかば
宝石職人。

麦
ああ、その〈ナントカカントカ〉を作った人?

わかば
じゃなくて、それは、ほら昔の、なんか偉い歴史のある職人さんが作っていて。「その人を超えられなくてよく現代で地位守っていられますよ…ね?(挑戦的な目)」みたいな。「ね?」みたいな。

 

 

 

わかば
そしたら「なんだとぅ?なら作ってやろうじゃねえか…!」みたいな感じでもう、なんならもう〈ナントカカントカ〉よりすごいもの作っちゃうみたいなね。

麦
じゃ、もうそれでよくない?

わかば
うん、だからそれとすり替えていく。

麦
じゃなくて、それあるなら怪盗しなくてよくない?

わかば
違う違う違う!窃盗したいんだもん、だって。

麦
(大爆笑)

わかば
窃盗するための手段よ、あくまで。たきつけるのは。おやっさんたきつけるのはあくまで手段よ。

麦
めんどくせぇ怪盗。

 

 

 

完全犯罪の先輩に話を聞こう!

麦
完全犯罪する人ってそもそもなにをモチベーションにしてるの?

わかば
なんか、バレないねーみたいな。

麦
なにか別の大きい目的があって完全犯罪は手段でしょ、だって。

わかば
じゃあはい、なんか、生き別れになった兄の行方を求めて完全犯罪をする少年Bさん。どうぞ。

麦
え?

 

Bさん
あのー、そうですねー、私の場合はぁ↑(鼻声)

 

麦
急にBさん出てきた。

 

Bさん
私の場合は、生き別れの兄を探すにあたって、極秘情報のある警察署に殴りこみをかけたんです。

 

麦
事件露見してんじゃん。

 

Bさん
バレちった (´・ω・`)

 

麦
「バレちった (´・ω・`)」じゃねーよ!

 

 

 

わかば
少年Bさん使えなかったね。

麦
ただのバカだった。

わかば
バカみたいな金持ちだったね。

麦
(大爆笑)

 

 

 

学校を休もう!

わかば
学校を休みたいときさ、どんな言い訳を考えた?

麦
ん?まぁ普通に仮病を使ったよね。

わかば
その仮病さ、本格的に調べられたらバレるじゃん。「じゃあ熱はかってみ?」って。36度5分。はい登校。

麦
私はやったことないけど、そういうのは摩擦熱とかでちょっと、38度ぐらいになったらパッと離すみたいな、よくあるよね。

わかば
なにそれ。

麦
知らない?体温計わたされたときに、脇にやらないで服でこするとかカイロに当てるとか、で、熱がいい感じに出てきたところで「はい」みたいな。漫画とかテレビで見たことある。

わかば
へぇ~…完全犯罪じゃん!

麦
ん、これ完全犯罪?なの?

わかば
うん、だから、そのときにどうやって親の目を盗んでカイロを用意するかよね。

麦
なるほど。

わかば
事前に脇にカイロしこんどけばいいんじゃない?

麦
あっつ!

わかば
(笑)

麦
低温やけどするんじゃないの、直で貼ってたら。

わかば
ダメだ、ゲームオーバーだ。

 

 

 

 

 

難しい名前の仮病を使おう!

わかば
どんな仮病だったらバレにくいかな?

麦
1個考えたのが、まわりがよく知らないようななんかすごい難しい名前の病気になる。

わかば
ああ、〈おへそプリプリ病〉とか?

麦
なんて?

わかば
〈おへそプリプリ病〉とか?

麦
次の日人気者確定。

わかば
ん?

麦
「うわ、なにその病気」

わかば
「いやー、ちょっとおへそプリッてさー」

麦
ごめん、その話は無視するけど。

わかば
うん。

麦
立ちくらみの正式名称?別名?がさ、あるよね。なんだっけ「眼前ナントカ感」みたいな。

わかば
岩山両斬波がんざんりょうざんは?

麦
え?

 

 

 

麦
あ、そうそう「眼前暗黒感」!

わかば
え、なにその技。

麦
立ちくらみの別名。つまり、一般的な通称を聞いちゃうと「ああその程度か」みたいなものもさ、医療的正式名称みたいなもので言ったらさ、クラスメイトからしたら「なにそれは」だよ。

わかば
なるほど。しゃっくりの正式名称ってなに?

麦
しゃっくりで学校休もうとしてるの?

わかば
全国の小学生に朗報送ったるわ!

麦
しゃっくり…しゃっくりは「横隔膜痙攣おうかくまくけいれん」。

わかば
すごい。一大事っぽい。「横隔膜が痙攣しているので休ませてください!」「え!大丈夫?」

麦
一大事っぽいわあ。

わかば
「ちょっと呼吸がつらいんです」

麦
今すぐ病院行かないとヤバそう感。

わかば
小学校の先生も騙せるっしょ。

麦
騙せるかなぁ。

わかば
だってウチら横隔膜痙攣知らなかったでしょ?

麦
まぁね。

わかば
大丈夫、新人の先生くらいはイチコロ。

 

 

 

麦
この戦法の最大の敵は親だな。

わかば
うん。

麦
親からしたらさ、「横隔膜痙攣なんだぁぁぁ!(ひっく)」みたいな。

わかば
「あーしゃっくりしてんなー」

麦
しゃっくりじゃん。

わかば
はい登校。

麦
行ってらっしゃい!

わかば
ダメだ、ゲームオーバーだ。

 

 

 

 

 

仮病の〇〇で学校を休もう!

麦
親すらなんの名称かわからんものにしないといけないんじゃないの?

わかば
うーん。

麦
名称っていうか、傍目から見たらヤバそう、みたいな状況になってればいいんじゃないの?なんだろう?他の名称調べてみる?

わかば
あくびは?

麦
んー…「普通にあくびです」だって。

わかば
見た目でわかっちゃう系はさ、親の目を逃れられないよね。頭痛とかなら傍目から見たらわかんないからさ、本人の申告次第じゃん。しゃっくりはわりと、ねぇ、見た目でわかっちゃうからダメね。

麦
要はまわりから理解を得難いけど本人的にはめちゃくちゃ苦しいやつでしょ?生理痛とか。

わかば
ああ~。

麦
症状に個人差があって自分の場合めちゃくちゃしんどい系病気。

わかば
ああ、そしたらあれかね…眠気。

麦
病気の話どこいったの。

わかば
個人差あるかなと思って。

麦
あるけど、そんなんで休まれたらたまったもんじゃないよね。

わかば
そっか。

麦
片頭痛はどう?

わかば
片頭痛…でも小学生から片頭痛ってあれね、マセてるね。

麦
え?

 

 

 

麦
あ、でも片頭痛だとその日の気圧が低くないと怒られるかな。「片頭痛ぅ?今日気圧低くねえじゃねーか!」って。

わかば
でも実際はわからんよね。片頭痛持ってないからさ、どのタイミングで片頭痛になるとかわからん。

麦
そう?

わかば
「片頭痛です」言われたら「ああ、片頭痛起きやすい日なのか今日は」って思う。

麦
あ、わかった!貧血は?

わかば
ああ~、わからんもんね。

麦
貧血は血の量を調べないといよいよわからないんじゃないの?

わかば
たしかに。親が医者でもないかぎり大丈夫だわ。

麦
親にいきなり家で採血されないかぎり大丈夫。

わかば
「そう?じゃあちょっと…」つって。

麦
「ちょっと採血」つって。

 

 

 

わかば
貧血はあり。

麦
貧血はなかなかいい感じよ。

わかば
「貧血なので休みます」うわぁかわいそう、ってなる。

麦
クラスメイトからの同情点も入る。

わかば
「〇〇ちゃん♪血、持ってきたよ♪」って感じになるかもしれないけどね。

麦
クラスにド級のヤバい奴がいる。

 

 

 

わかば
これで完全犯罪できるんじゃん?

麦
じゃあこれで1つの結論ということで。

わかば
うん。

麦
じゃあちょっと発表しよう。

 

 

 

わかば
次の日は「レバー食ったら治った」とか言っておけばいい。

麦
すごい、本当に一般人にも完全犯罪を考えることはできるんですね。

わかば
まぁ完全犯罪なんて余裕よね。

麦
はたしてこれが犯罪なのかについてはまぁちょっと議論の余地があるけれど。

わかば
人に嘘をつくことは罪だってイエスは言ってたよ。

麦
あ、そう、じゃあそれで。

 

 

 

というわけで、我々一般人にも完全犯罪を考えることは可能でした。フィクションの中だけの話じゃなかったんですね。最近ネタに行きづまっているミステリー作家のみなさんも明日は仮病の貧血で学校を休む小学生のミステリーを書いてみてはいかがでしょうか?私は読みたいそれ。こちらからは以上です。

 

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。