• 檻は鳥から自由を奪い、命を守る -『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』感想

    『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ』以降しばらく空いちゃったんですけど、久しぶりに天久鷹央シリーズの感想です。 シリーズ12作目、うち〈事件カルテ〉シリーズとしては7作目となる長編小説。語り手である“僕”こと小鳥遊優に加え研修医の鴻ノ池舞を正式に統括診断部のメンバーに迎え、おなじみ天才医師・天久鷹央が15年以上の時を経てなおまったく容姿の変わらない少女・楯石希津奈の不老と復活の謎に挑...

    2021年9月14日

  • 結局、プルデンシアってどうなるでんしあ? -『ホテル・アルカディア』感想

    ついにはあからさまに人目を避けるようになり、二週間ほど前から、敷地のはずれにあるコテージに閉じこもっているという。 (P12/L7~8より引用) ごきげんよう。ついにもなにも、常日頃人目を避けて部屋に閉じこもっている佐々木ン麦シアです。 というわけで、石川宗生『ホテル・アルカディア』を読んで思ったこと、感じたこと、考えたことなどプルデンシアになったつもりであれ...
  • 毎年、大型連休は必ず誰かを世界を救ってる ~今年は救うぇなかった・エニックス~

    2021年5月の大型連休はやっぱりほとんどの時間ゲームをしていた。ボードゲーム、オンラインのリアル脱出ゲーム、PS4。 ボードゲームは『トゥー・ルームス』という作品がおもしろかった。 2人のプレイヤーが協力しながら吸血鬼・マントを負傷させ、ニーナを助けださなければいけない。外箱まで使う(!)無駄のないシンプルなルールながら「目を閉じる」という行為がいいエ...

    2021年5月14日

  • 社会なんて人なんて -『料理なんて愛なんて』感想

    料理は、小学生のときに覚えた。 母がパートで夕方まで帰ってこないため、偏食の私が給食を残しておなかを空かせて帰ると、自分でなにかつくらなくてはならない。フライパンでハーフベーコンを4枚焼き、食パンに#の形にのせたらとろけるチーズも上にのせ、電子レンジで1分ほど。トースターでカリカリに焼くよりもこのふにゃふにゃ感が好きだった。名前はない。この名無しの創作料理を帰宅後はいつも一人で食べて...
  • 佐々木麦は君が好き、今日も -『麦本三歩の好きなもの 第二集』感想

    第一集の感想はこちら: 第二集とはいえ小説の根幹にある部分は前作から変わらないのでとくに細かな感想はないのですが、本作を読んだことで腑に落ちたところがあったのでこれは書いておこうかなと。 まず、私は三歩に滑舌をプラスして社会性・社交性をマイナスしたような結果ほぼ下位互換なので、三歩がいて世界が成立している、というさまは妙な言いかただけれどすごく安心するんですよね...
  • あなたの想いの額縁は、私がつくる -『額装師の祈り 奥野夏樹のデザインノート』感想

    冒頭からいきなりゲームの話なんですが、デレステの鷺沢文香ちゃんのソロ楽曲に「銀河図書館」というものがあるんですよ。 https://www.youtube.com/watch?v=AEmfBH2qj70 でね、その「銀河図書館」の歌詞について考察を書いた人がいるんですけど、それがめちゃくちゃ良いわけです。 「銀河図書館」の歌詞には「四角い空...
  • 創作についてのいくつかの雑文

    物語としてあまりに救いようがなく文字表現という根本的な観点からもほとんど理解できない小説と出会う。内容云々より、おそらくこれが作品として世に出たことの意味を考えなきゃいけない本なのだと思った。 今じゃすっかり共感至上主義みたいな世界になってしまったけど、自分が共感できるものだけを選んで相手から共感ばかり求めるような生きかたは、じつは得られる幸福感と得るための苦労がまったく釣りあってい...

    2021年3月10日

  • 月のケーキは甘くない!-『月のケーキ』感想

    奇妙な味わいという宣伝文句につられて手にとりましたが、いやぁ、なんの因果か直近で篠田知和基『世界植物神話』なんぞ読んでいたのでハシバミや金曜日がなにを意味するかとか、思いのほかわかるわかる。タイトルは「月のケーキ」だけど含意たっぷりでなかなか甘くなかった。感想ってかもうほとんど考察です。あたりまえのようにネタバレします。 月のケーキ 月の満ち欠けは周期的なものなので...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。