ミステリー
  • 檻は鳥から自由を奪い、命を守る -『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』感想

    『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ』以降しばらく空いちゃったんですけど、久しぶりに天久鷹央シリーズの感想です。 シリーズ12作目、うち〈事件カルテ〉シリーズとしては7作目となる長編小説。語り手である“僕”こと小鳥遊優に加え研修医の鴻ノ池舞を正式に統括診断部のメンバーに迎え、おなじみ天才医師・天久鷹央が15年以上の時を経てなおまったく容姿の変わらない少女・楯石希津奈の不老と復活の謎に挑...

    2021年9月14日

  • 鼻は、人間の奥底につながる無防備な穴だ -『透明な夜の香り』感想

    千早さんの小説は高校生だか大学生だかの時分に『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』を読んで以来だったんですけど、第一印象と変わらない、幻想的で蠱惑的な美しい文章でした。拠点となる洋館には主人公・一香以外の女性はおらず、調香師の朔、探偵の新城、庭を管理する源さんとまわりは男性が固めますが安易にハーレムとか唯一の女性である一香をチヤホヤしないそれぞれの距離感が絶妙で良いですね。 ...
  • 困難とは特効薬か、麻薬か -『錬金術師の消失』感想

    ※例によってばっちりネタバレになる部分を引用しているので任意で読んでください。 「エミリア! 時間もないからさっさと栄養補給だ! あと滅法熱い紅茶も淹れてくれ! さぁ、リベンジマッチの始まりだ!」 (P364/L11~12より引用) というわけで、間髪入れずに2作目『錬金術師の消失』です。最初は惜しい気持ちでちまちま読んでいたのですが、そのうち我慢できなくなって結...
  • 【再読】難題に挑みたがるのは人の常でもある -『錬金術師の密室』感想

    初読の感想はこちら: https://www.mugitter.com/2020/06/30/2020kamihanki/ シリーズ2作目『錬金術師の消失』購入したので再読。初読の感想は過去の私がどこにも需要のない謎の特集に放りこんでしまったので今回改めて独立した感想記事を書きました。ばっちりネタバレになる部分を引用しているので任意で読んでね! 初...
  • 「自分の目で見たものしか信じない」は愚か者の戯言だ -『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』感想

    【タイトル】 「自分の目で見たものしか信じない」は愚か者の戯言だ -『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』感想 【リード】 ドラえもん×クレヨンしんちゃんfeat.スーパーサイヤ人でおなじみ(大嘘)の『ファミリーランド』からちょうど1年あまり。久しぶりに澤村伊智です。あらすじ読んだ感じ今回はサクッと読むやつかなーと思ったらやっぱりネタバレ前提の感想しか書けなかった。は...

    2020年11月13日

  • 私の日常のほとんどは私じゃない人たちで成り立っている -『窓から見える最初のもの』感想

    村木美涼『窓から見える最初のもの』を読みました。前回の野崎“まど”からの連想じゃないよ。『箱とキツネと、パイナップル』を読む前からこれおもしろそうとメモしていた小説だったんだけど偶然にも同作者でした。すごくよかった。村木さんはやっぱり美味しい天然水みたいな物語を書く人だなと。 相沢ふたば、藤倉一博、連城美和子、御通川進、4人を主人公にしたミステリーが交互に展開されてい...

    2020年6月18日

  • とにもかくにも小説が好きだ -『小説家の作り方』感想

    野崎まどの小説はおよそ7年前に『なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る』と続編読んで以来だったけど、『小説家の作り方』もおもしろかった。とにもかくにも私は小説が好きだ。それを再認識させてくれたことに、自分がこの小説と出会って、読んだ意味があったのだと思う。 主人公とは、物語に多大な影響を与える言うなれば最も大切なファクターでしょう? その主人公の、中でも重要な要素...
  • 本当に、箱とキツネとパイナップルの話 -『箱とキツネと、パイナップル』感想

    ある小説家が以前、タイトルは小説にとってもっとも長期的に打てる広告、みたいなことをTwitterに投稿していた。かえってそれを意識しすぎているのか、映画のポスターなど、日本の広告は情報を過度に説明しすぎるきらいがある。出版業界でいえば、文章がそのままタイトルになってしまうことも今や珍しくない。 その観点からすると、村木美涼の小説『箱とキツネと、パイナップル』は巧いタイトルだなとつくづ...
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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。