海外小説
  • 月のケーキは甘くない!-『月のケーキ』感想

    奇妙な味わいという宣伝文句につられて手にとりましたが、いやぁ、なんの因果か直近で篠田知和基『世界植物神話』なんぞ読んでいたのでハシバミや金曜日がなにを意味するかとか、思いのほかわかるわかる。タイトルは「月のケーキ」だけど含意たっぷりでなかなか甘くなかった。感想ってかもうほとんど考察です。あたりまえのようにネタバレします。 月のケーキ 月の満ち欠けは周期的なものなので...
  • 雨音聞いて、カバの夢を見て寝ます。- 『内なる町から来た話』感想

    初めてのショーン・タン。名前はなんかどこかでチラッと聞いたことあるんですけど、「機会があれば読みたいよね」とエドワード・ゴーリーの絵本に興味持ったときとまったく同じ気持ちを抱いていたら本当に読む機会がめぐってきました。なのでそのうちエドワード・ゴーリーの絵本も読むんだと思います。 図鑑かと思ったよね、最初。絵本なのか掌編小説集なのかわからなくて、まぁ、それは読み終わった今でもさっぱり...
  • 奇妙が侵入してくる -『私たち異者は』感想

    スティーヴン・ミルハウザー『私たち異者は』(柴田元幸・訳)を読みました。最近とんと観ていないけど、タモリはさ、今でも「次に奇妙な扉を開けるのはあなたかもしれません」みたいなこと言ってるわけでしょ? でもさ、この小説は違うんだよ、自分のほうから扉開けて入ってくるの。巧妙に、ちょっとずつ、ちょっとずつ。あとはただ穏やかに絶望。こわい。 ミリ単位まで見逃さないリアルタイ...
  • 偶然は必然かもしれないこの世界がおもしろくて愛おしい -『偶然仕掛け人』感想

    ヨアブ・ブルーム『偶然仕掛け人』(高里ひろ・訳)を読了しました。たとえば、今日コンビニで選んだあのお菓子、道端でばったり会った友人、トイレに忘れてきたハンカチ――私の人生において“偶然”だと思っていたあれもこれも、じつは誰かによって意図されたものだったとしたら?世界のあらゆる偶然を操作する〈偶然仕掛け人〉があたりまえにひっそりと存在する世界を舞台にした現代ファンタジー。読めばきっと、あなた...
  • 宿命をくりかえす彼らのために -『砂糖の空から落ちてきた少女』感想

    ショーニン・マグワイア『砂糖の空から落ちてきた少女』(原島文世・訳)を読みました。ジャックとジルによる前日譚『トランクの中に行った双子』をはさんでふたたびナンシーやケイドたちと再会しましたが、……うーん、個人的には『トランクの中に行った双子』≫『不思議の国の少女たち』>本書かなぁ。菓子の国とか正真正銘ファンタジー大冒険だったはずが思っていたよりあっさりした読み心地だった。というわけで、感想...
  • 私たちは残酷で愛おしく、危うい -『トランクの中に行った双子』感想

    ショーニン・マグワイア『トランクの中に行った双子』(原島文世・訳)を読みました。以前読んだ『不思議の国の少女たち』の続編ですが、おなじみジャックとジルを主人公に2人がエリノアのホームに来る前の、ヴァンパイアの世界に行った当時の物語なので前日譚と言ったほうがいいでしょう。現実の世界にありながら非現実の世界によりそった前作に対し、こちらは非現実の世界にありながら現実の世界によりそっていた印象、...
  • 残酷で美しい世界に帰ってきてしまった -『不思議の国の少女たち』感想

    ショーニン・マグワイア『不思議の国の少女たち』(原島文世・訳)を読みました。まるでアリスのように“不思議の国”に迷いこみ、そして、現実世界へ帰ってきてしまった・・・・・・・・・あとの少年少女たちを描くリアルとファンタジーの調和が新鮮でページをめくるのを惜しむように読んできたのですが、なにせ水のように「浸透していく」と言いあらわすのが一番しっくりくるような作品で、もちろん「おもしろかった!」...
  • 絶望の森を抜けて -『城の王』感想

    スーザン・ヒル『城の王』(幸田敦子・訳)を読みました。読後に思ったこと、考えたこと、感じたこと――そのすべてを言葉にして綴るのは難しく、読み返してみると抽象的で短い文章になってしまったのですが、それでも本書と本書を読んだ私の感想はなにより自分のためにここに残しておきたいと強く思ったので、短くても抽象的でも、ありのままを載せることにしました。読了直後にしたためた感想メモほとんどそのままですが...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。