cover book photo

 

 

 

あらすじ、著者、出版社、タイトル、値段 etc.

 

みなさんは未知の小説を手にとるとき、
どんな情報を最優先にして判断していますか?
私は表紙のデザインで選ぶことが圧倒的に多いです。

 

表紙のデザインというのは文字で説明されない、
世界観、言葉選び、雰囲気などの情報だと思うんですよ。

 

これはむしろ
あらすじやタイトルよりも大切な情報で、
自分の感覚と波長が合う小説というのは
総じて読みやすいから「良作」に感じやすい。

 

みなさんもぜひ、
一度お気に入りの本をズラリと並べてみてください。
表紙を見比べてみると意外な共通点が見つかるかも?

 

というわけで、
今回は魅力的な装幀の小説を5冊選んでみました。

 

物語には触れずに
あくまで表紙についてのみ語らせていただきますので、
中身が気になった方はぜひ実際に手にとってみてくださいね。

 

 

 

表紙は物語ほどに物を言う


 

 

※以下、順不同・敬称略。

 

 

 

『ノッキンオン・ロックドドア』(青崎有吾 著)

 

挿画:有坂あこ
装幀:西村弘美

 

表紙を見て
最初に思ったのは「洋書っぽい!」でした。
洋書、読んだこと、一度もないんですけどね。

 

主人公コンビ氷雨・倒理の
肌の色味を抜くことにより背景の赤単色に
黒が映えてシンプルながらシャープな印象。

 

厚紙のような触り心地で
海外のペーパーバック感があるのもいい。
ペーパーバック、読んだこと、一度もn(略)

 

装丁まんまの作画でアニメ化されたらぜひ観たいです。
主題歌はもちろんチープ・トリックにしてくださいね。

 

 

 

 

『リバース』(北國浩二 著)

 

※不明

 

今は文庫本しか手元にないのですが、
表紙のデザインは圧倒的に単行本のほうがいいです。
手触りすごく好きだったのになぜ売ってしまったのか。

 

光の具合やギターを抱える男性の背中、
主人公の純粋ゆえに愚かな内面を語るようです。

 

タイトルのフォントや色味からも、
パッと見は爽やかな青春小説か恋愛小説に見えますが
どっこい中身は苦しくてそのギャップがまたいいです。

 

とか言いつつ、
読んだの結構前であまり内容が鮮明でないので
近いうちにまた再読しようかなと思っています。

 

 

 

 

『現代詩人探偵』(紅玉いづき 著)

 

カバーイラスト:新岡良平
ブックデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ。

 

紅玉氏の作品は
他の作品もすごく好みなんですけど、
男女問わずウケそうという点でこちらを選びました。

 

細い線と青の色味が冬の夜明けのようで、
「現代」の文字と幻想的な空間の対比が美しい。

 

読んでいるとき、
「雨音か冬の夜明けがよく似合いそうだ」
と感じていたのでまさにぴったりの表紙でした。

 

個人的にパーカーを着る男の子が好きという
しょうもない理由もあるけどそれは内緒だよ。

 

 

 

 

『強欲な羊』(美輪和音 著)

 

カバーイラスト:杏チアキ
カバーデザイン:西村弘美

 

※上記の情報は文庫版です。

 

デザインが異なるのに
単行本・文庫どちらも素晴らしかった稀有な例。

 

どちらかといえば単行本のほうが好みですが、
表題作をよりあらわしているのは文庫版かな。
単行本のほうは“きれい”すぎるような気も。

 

部屋に飾りたいほどきれいな絵なので
単行本もぜひ欲しいところなのですが、
同じ値段で他の本1冊買えると思うと未だ決心できず。

 

 

ちなみに単行本はこちら。

 

 

 

『きみはいい子』(中脇初枝 著)

 

写真:岩崎美里
デザイン:アルビレオ

 

※上記の情報は文庫版です。

 

透明感の塊。
触れたら壊れそうなこの繊細さ。
心の汚れた自分が触ってもいいのだろうか…。

 

被写体の組み合わせ的には
春っぽさがあるんですけど、
冬の朝のような冷たく澄んだ空気も感じるんですよね。

 

蝶が花にとまって茎が、つ、と揺れる。
そんな数秒後の光景までもがイメージできて、
この繊細さは物語にも通じるものがあります。

 

 

 

—編集後記—

 

挿画・装幀の欄を確認して気づいたのですが、
あれ、ちょいちょい名前、被ってませんかね。

 

たぶん『ノッキンオン・ロックドドア』と『強欲な羊』同じ人ですよね。
しかも『きみはいい子』のデザインは『ノッキンオン・ロックドドア』の図を制作された会社だ。

 

というかアルビレオさんの会社HPを覗いてみたら、
仕事一覧のところに並ぶ本をわりと読んでいました。
自分の本棚かと思った。感動しました。運命ですね。

 

こんな発見もあるので、
みなさんもぜひ一度本棚の表紙を見比べてみましょう。

 

 

 

表紙の良さは別の領域で記憶される


 

 

学生時代、
音楽を聴きながら勉強すると記憶が結びついて
その音楽を聴いたときに勉強内容が思いだせる、
と、真意はともかく聞いたことがあるのですが。

 

おそらくあれと一緒で、
表紙と物語って最終的に記憶がセットになるから
たとえ物語が気に入らなくても表紙がいい小説は
「良作」とは別の領域で「良作」と覚えてしまうんですよね。

 

Mugitterに記事を投稿するとき、
サムネはその本の表紙をデザインするつもりで
物語や世界観に合うものを選んでいるんですけど、
実際にやってみるとこれがどれほど難しいものか痛感します。

 

毎回画像を選ぶのにとんでもなく時間がかかるし、
なんならサムネ選びが一番作業時間を食っていますからね。

 

主役は作家でメインはもちろん物語ですが、
表紙を眺めてじっくり味わうというのもまた
読書の乙な楽しみ方なのではないでしょうか。

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。