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先日、
埼玉県川越市にある氷川神社へ行ってきました。

 

受験シーズンということもあり
地元の高校生と思われる参拝客が多い中、
「良縁 あい鯛」なる珍しいおみくじを発見。

 

このおみくじ、
かわいらしいピンク色の鯛の尻尾に
恋愛運のおみくじが収納されていて、
好きな鯛を小さなつりざおで“釣る”という仕様。

 

挑戦してみると、
結果はなんと大吉でした。

 

待ち合わせの項目に
「時間をよく守りなさい」と書いてあったのですが、
神様、待たされているのはだいたい私のほうです。

 

というわけで、
今回は恋のおはなし。
瀬那和章氏『花魁さんと書道ガール2』読了です。

 

 

 

百戦錬磨の花魁がイマドキの恋を斬る!


 

 

春風と名乗る
花魁の幽霊に取り憑かれた
書道一筋の内気な大学生・多摩子。

 

二人で結成した
「最強の恋愛アドバイザー・春風さん」
の噂は、図らずも大学内で有名になっていた。

 

夏のある日、
多摩子唯一の親友である
林檎の様子がおかしいことに気がつく。

 

問い詰めると、
彼女は重い口を開いて告白する。
「好きなひとが、できました」。

 

親友の一大事に
なんとか力になろうとする多摩子だったが、
林檎の兄・学との関係もぎこちなくて……。

 

持ち込まれる恋の悩み相談に、
書道家としての進路に、自分自身の恋に、
揺れ動く多摩子が選ぶ道は――。

 

恋に迷うすべての人に贈る、新感覚の恋愛応援小説。

 

※あらすじは文庫より引用しました。
※東京創元社HPで内容の立ち読みができます。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488450120

 

 

 

前作『花魁さんと書道ガール』を
読んだのが奇しくもちょうど1年前。
不思議なめぐりあわせもあるものですね。

 

記事を読みかえしてみると
前作の感想では「ガクたまはいいぞ(要約)」
としか言っていなかったようなので今回は
きちんと冷静に全体の感想を書かなければ。

 

相変わらず、
散見するラノベ調(※)の言葉遣いやノリが
気にはなりますがそれでも楽しく読めます。

 

※個人的に気になったのは以下3点。

・「!」と「……」の多用
・何回読んでも違和感しかない「ぎゃほ」
・若者言葉・ケータイ小説のような言葉遣い

 

以下、
各話感想をまとめました。

 

 

 

恋の行方は十人十色


 

 

第1話 栗色ロケットガール:

 

あらすじで書かれているとおり、
多摩子の親友・林檎の恋のおはなし。

 

いつも手と首を怪我していて包帯を巻いている。
みんなからは「メリケンサックの人」と呼ばれている。

 

林檎が想いをよせる男性・滝川さんは
話を聞くにどうも怪しくて危険な人のようだ。
心配する多摩子たちだが果たして恋の結末は――?

 

 

 

疑問や腑に落ちない点が残る、
なんだかモヤモヤしたオチの弱いおはなしでした。

 

ラストで林檎を襲った
ある展開への対処が非現実的だし、
包帯の伏線も「言われてみると」と
情報をあとだしするズルはちょっといただけない。

 

結構荒療治のように見えました。
私だったらあれはむしろ生涯トラウマです。

 

 

 

第2話 マニキュアを塗る君を笑わない:

 

悩める男性(イケメン)のおはなし。

 

誰もが羨むイケメン彼氏の正体は、
かわいいものが大好きな乙女系男子だった!

 

彼を連れて歩くことで
周囲から羨望のまなざしを浴びることが
快感だった恋人の律は「笑われる」と彼の
本性を否定してケンカ別れしたというが……。

 

 

 

全4話の中でも印象的で
個人的には一番好きなおはなしでした。

 

渦中の竜太郎さんは、
芸能人でたとえると
りゅうちぇるさんのようなイメージでしょうか。

 

あたしは、不思議でならないんだ。

 

こんな風に、
自分の着る服も化粧も趣向も、恋さえも、
なんでも自分で好きなように選べる時代になった。

 

それなのに、
巷を歩いている娘どもは、
目に見えないなにかに選ばされている。

 

どうしてあんなに、
不自由に見えるんだろうね。

 

同調圧力というかマジョリティ至上主義なのは、
日本に根づいてしまった国民性なんでしょうね。

 

 

 

哲学や倫理や思考実験の本を読んでいると、
必然的に政治や宗教、差別、戦争といった
テーマにぶつかることになるんですけれど、
最近自分の中で1つの持論がもてるようになって。

 

私たちが皆異なった個体である以上、
厳密な意味で「わかる」ことはできないと思うんです。

 

個体と個体とができることって、
「わかりあう」ことではなく「認めあう」ことなんです。
「容認」という行為は本人の意思によるものですから。

 

人を好きになる、
という行為はこの容認の先にあるもので、
この人のどんな側面も認め、許し、受けとめる。
責任と覚悟が伴うものなんだと解釈しています。

 

 

 

第3話 恋という字をあなたに:

 

いよいよ、
主人公・多摩子本人のおはなしです。

 

ガクとのぎくしゃくした関係。
最近なんだか様子がおかしい春風さん。

 

だけど私は、
書道でなにかをあきらめることはしないと決めた――。

 

書道一筋だった多摩子は
さまざまな恋愛を見届けてきた末になにを選ぶのか。

 

 

 

以前『ハセガワノブコの仁義なき戦い』の
感想記事で少し触れたことがあるのですが。

 

若者の“恋愛離れ”が騒がれる一方で、
恋愛至上主義者というのも未だに多いようです。

 

恋をするのは素敵なことだけど、
多摩子の書道とむきあう姿勢を見ていると
必ずしも恋愛が至上のものではないのだと、
また恋愛に規定のルールや形はないのだと、
選択の自由が広がる昨今、考えさせられます。

 

 

 

第4話 ばいばい、春風さん:

 

春風さんが宿っていた件の簪と
春風さんの過去・生きた時代にまつわるおはなし。

 

前話から月日は経ち、
書道一筋の大学生だった多摩子も27歳。

 

遊女の年季明けの歳。
春風さんが嫁いだ歳。

 

そんな折、
面倒を見ている少女・蜜柑が
どうやら花魁の幽霊を見たらしく――。

 

 

 

最初の数ページは
エピローグか後日談というふうですが、
個人的に後半は蛇足のように感じました。
ともあれ大団円で終わってよかったです。

 

名前の奇抜さは目をつむるとして、
蜜柑の口調はさすがに狙いすぎで興ざめ。
個性強すぎやしないかと気になりました。

 

前作のおはなしと合わせても
このおはなしがもっとも艶っぽく美しい。
いっそ時代小説として長編でガッツリ読みたかったです。

 

 

 

正攻法はない、が、様式美はある?


 

 

記事を書いている
今日2月14日はバレンタインデーですが、
起源を調べてみると元はウァレンティウスなる
司祭の殉教に由来する記念日なのだそうですね。

 

ローマ帝国皇帝・クラウディウス2世は、
愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、
兵士たちの婚姻を禁止したと言われている。

 

キリスト教の司祭だったウァレンティヌス(バレンタイン)は、
婚姻を禁止されて嘆き悲しむ兵士たちを憐れみ、
彼らのために内緒で結婚式を行っていたが、
やがてその噂が皇帝の耳に入り、
怒った皇帝は二度とそのような行為をしないよう
ウァレンティヌスに命令した。

 

しかし、
ウァレンティヌスは毅然として皇帝の命令に屈しなかったため、
最終的に彼は処刑されたとされる。

 

――Wikipedia「バレンタインデー」より

 

とすると、
本来バレンタインデーは“告白する”というより
(恋人との)愛を誓う日、という記念日なんですね。

 

先ほど、
タイではバレンタインデーに
婚姻届を提出するカップルが役所へ殺到したと
ニュースで見たのですがなるほどそういうのが
由来的には正しい過ごしかたなのかもしれません。

 

余談ですが、
ホワイトデーは日本発祥の記念日。
翌月4月14日にはオレンジデーというものも存在します。
オレンジ(色)にまつわるものを贈りあう日だそうですね。

 

今年のバレンタインデーに告白をした女性陣には、
ぜひ来月のホワイトデーでいいお返事をもらって
さらに翌月のオレンジデーでプレゼントを贈りあう、
正式な愛の手続き3STEPを踏んでいただきたいです。

 

ちなみに、
さらに翌月の5月14日は温度計の日。
2人のアツアツっぷりときたらもう
温度計で測るまでもないですな、って、やかましいわ!

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。