青春
  • 麻枝准知らない族が得たもの -『猫狩り族の長』感想

    今まで虚構を描いてきた。 初めて本当に思っていることを書きました。 書店で新刊を漁っているときにふと目に留まったのが帯に書かれたこの言葉で、それから、ただならぬ雰囲気の表紙、タイトル。麻枝准という作者は知らなかったけれど『CLANNAD』というゲームタイトルは方々で聞いていたので、知見を広げるため手にとってみたのですが……文字どおり、呆気にとられたとしか。 「譜面で見て弾いた...
  • 穴があってもいい、それは「ドーナツの穴」なのだから。-『教室に並んだ背表紙』感想

    電子書籍でさらりと読んで流す予定だったのですが、無理でした。泣くほど好きだった。タイトルやあらすじから察せられるように本や物語を愛する人たちのための小説だとはもちろん思うのですが、逆に、物語やあるいは読書そのものに意義を見出せないという人たちへのトリガーにもなるような言葉がふんだんに盛りこまれています。 個人的に印象に残っているのは、「その背に指を伸ばして」の主人公・...
  • 感想の思索、または詩作 -『坂下あたると、しじょうの宇宙』感想

    言葉について、小説について考える小説が好きだ。そんな理由で町屋良平『坂口あたると、しじょうの宇宙』を手にとったのだけれど、「好き」か「嫌い」かで問われたら答えるのが難しい。文体や展開に自分の考える「純文学っぽさ」がまんまあって、物語として見た場合に「おもしろかった!」とは言えない。言えないんだけど。 なんであたるの声だけ聞こえるんだ? おれたちの発する雑音に汚されても、こんなにハッキリし...

    2020年2月27日

  • とある読書ブログの画竜点睛 -『線は、僕を描く』感想

    最近は平藤喜久子『いきもので読む、日本の神話 身近な動物から異形のものまで集う世界』(ホリナルミ・絵)を読んだりね、1~2ヶ月に1冊ぐらい学術書とかビジネス書とか読んでる私なんですけど、いやぁ、先日とんでもないインプットの塊に出会ってしまったんですよ。ご存知ですか?砥上裕將『線は、僕を描く』っていう小説なんですけど。 物語としては、両親を事故で亡くしてから孤独な大学生活を送っ...

    2019年11月14日

  • 感想という意識の散布、願わくば萌芽 -『キキ・ホリック』感想

    麦です。今日も今日とて、頭蓋骨割れんばかりの頭痛。興奮しすぎて。というのも、森晶麿『キキ・ホリック』!これがもう、痺れる。ゾクゾクしながら2日であっというまに読んじゃった。森作品といえば〈黒猫〉と〈偽恋愛小説家〉のシリーズ、あと『花酔いロジック』は最初の1冊だけ既読だけれど、いやいや、『キキ・ホリック』は随一の傑作だと思います。 ...
  • 苦しんでいるあなたに私の大好きな言葉を読んでほしい -『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』感想【再読】

    ベッドからこんにちは。麦です。今、絶賛、頭痛。というのもね!読書の秋だし本にまつわる小説でも読もうかな~と軽い気持ちで川添枯美『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』を読んだんですが、3回泣いた。そして感極まりすぎて頭痛発症。「考え事すると、すぐ頭痛くなっちゃうの」とはヒロイン・文弥子の言ですが完全にそれ。冷えピタ貼りながらで失礼しますがとにかく聞いてくださいよ、4年ぶりに読ん...
  • 本に恩返しは、できる。 -『神さまのいる書店 まほろばの夏』感想

    三萩せんや『神さまのいる書店 まほろばの夏』を読みました。以前書店の平積みで最新刊を見かけたことがあって気にはなっていた作品、あるとき偶然にもその第1作目を文庫で見つけたのでとうとう購入。ライトノベルとかキャラクター小説の類なのかなぁと軽い気持ちで読みはじめたはずが本を閉じたときにはすっかり目頭が熱くなっていました。 本に恩返しは、できる。 本好きの...
  • 少女を大人にするもの -『薫香のカナピウム』感想

    上田早夕里『薫香のカナピウム』を読みました。前回『夢みる葦笛』の感想の最後で宣言したとおり、買ったきり本棚でねむっていた同作者の長編を救出です。ここは短編と長編の違いでもありますが、同じSFの括りでも本書は物語に起伏はさほど多くなく、主人公・愛琉の成長を軸に、どっしり腰を据えて読むような作品でした。 静かで、とても騒々しい 生態系が一変した未来の地球...
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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。