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葉山透『それは宇宙人のしわざです 竜胆くんのミステリーファイル』を読了。例のごとく、勧めてくる小説がことごとく私にハマらないことでおなじみの知人から「これは?」と書店で差しだされた1冊。表紙のデザインがめちゃくちゃ好みだったので二つ返事で購入したのですが、お、おもしろかった…。3時間読みふけってあっというまに完走してしまった。くっそー。

 

 

 

 *:・゜。*:・゜*:・゜。*:・゜←飛散する鼻血

なんの用?人間には興味ないんだけど。憧れの出版社に入って2年目でファッション誌からオカルト誌へ異動させられた雛子。異動初日に「宇宙人にさらわれた」と噂される少年を取材することになり、高校生にもかかわらず、超高層ビルの最上階に一人で住む竜胆に出会う。並外れた頭脳と洞察力を持ちながらも、人間嫌いでUFOオタクの竜胆の言動に振り回される雛子。しかし帰り際、竜胆から奇妙な助言をされて……。ヒキコモリの天才高校生。オカルトのカラクリを見抜け。

 

出典:http://www.gentosha.co.jp/book/b11354.html

まずはこの竜胆くんを見てくれ。

 

・パーカー
・フードかぶってる
・絶妙な腕まくり
・絶妙な脚まくり

 

私の性癖を完全制覇してrぶしょあ!(鼻血を噴射する音)

 

このワカマツカオリ産イケメン高校生が24歳のおねえさんにお守りもらって恥じらいながら「お守り、あ、ありがとう」とか言うんですよ?そっぽむいちゃって。萌えすぎて無理くない?私は無理。口の中で異常に唾液が分泌される程度には尊さを感じている。装丁確認したらやっぱりアルビレオだった。本文、装画、装丁、三つ巴でいい仕事しすぎ。

 

どのおはなしも先の展開が読めてしまうのでミステリーとしてはあっさりした印象ですが、竜胆くんはもちろん主人公・雛子もそれを十二分にカバーできる魅力的なキャラクターなので、2人のやりとりをながめているだけで個人的には満足でした。あ、ただしこれだけは言っておく。第3話で化ける。めちゃくちゃ胸熱でおもしろいぞ第3話。

 

「まずはUFOの記事、がんばろう!」

(P24/L11より引用)

 

興味も知識もまったくないオカルト誌に異動になっても、宇宙人にしか興味関心のない無礼な天才引きこもり少年に出会っても、頭ごなしに否定することなくとりあえずまずはきちんとむきあってみる、という真面目で優しい雛子がとっても健気なのでまだまだ応援していきたいのだけれど、これ、シリーズ化の予定あるのかしら。せめて続編1冊だけでも。全宇宙が待っています。

 

以下、各話の感想をまとめました。

 

 

 

この空のむこうに宇宙人はいる

第一話 竜胆くんとMIB

廃刊をきっかけに入社からわずか2年で憧れのファッション誌編集部を追われた園田雛子が次にまわされたのは胡散臭いオカルト話を扱った「月刊アトランティス」の編集部。編集長からUFOにさらわれた人々のインタビューを任された雛子は、さっそく何年も放置された投稿ハガキの中から見つけた3人の男性の自宅を訪ねてみることにしたが、2件目に伺った菅原大輔から妙な反応をされ――。

最初「肥満…?」と思ったけどそれたぶんBMI。作中登場した「主演俳優が缶コーヒーのCMで宇宙人役やってる」有名な映画『メン・イン・ブラック』は去年あたりたまたまhuluで観たはず、なんだけど、あんまり内容覚えてないなぁ。続編も観ていないしここきっかけでまた観てもいいかな。

 

雛子を狙う謎の黒ずくめの正体は竜胆くんの言うとおり“MIB”なのか!?…は、本書を読んで確認してもらうとして、このあいだ一人暮らしの友人の家に遊びに行ったんだけど、あそこも夜は周辺が静かで暗いから心配になっちゃいました。夜道で背後から靴音が近づいてくるのってそれだけでめちゃくちゃ怖いよね。

 

雛子が危ない目に遭ったり真相が全3話中一番物騒だったりしたわりに、竜胆くんの淡々とした推理も相まってミステリーとしてはいやにあっさりしたおはなしだったけれど、2人のキャラクター紹介としては及第点なのではないでしょうか。P88の竜胆くんの落胆っぷりあからさますぎて笑ってしまった。

 

就職の面接で、
『ずっと体育会だったの? じゃあ体力は自信ある?』
と聞かれ、
『あります。でももっと自信があるのは、上からの理不尽に耐えられるところです』
と答えたくらい、体育会系の体質が身に染みついている。

 

(P63/L5~9より引用)

 

雛子がバッキバキの元体育会というギャップが強烈に印象に残っています。

 

 

 

第二話 竜胆くんとミステリーサークル

栃木県で1ヶ月に10以上ものミステリーサークルがあらわれたとの情報を持ってきた編集長にせっつかれ、半ば強引に調査にむかうことになった雛子と先輩の金本は、張り込み中、異様な光と大きなミステリーサークル、そしてキャトルミューティレーションされたと思われる不気味な牛の死体を目撃する。金本に促され、雛子は以前取材で世話になった引きこもり高校生・竜胆くんを連れてふたたび調査のため現場に戻ったが、ミステリーサークルは忽然と消えていて――。

1話に引きつづきシンプルであっさりした謎だったけど、読者にも結構推理の余地があるぶん、おもしろかったです。金本さんの第一印象は「胡散臭いなぁ」「怪しいなぁ」だったんだけど今回のおはなしでさらに信用できなくなりました。雛子と竜胆くんに“ぐわし”が通じなかったときの悲しみだけは同情する。というか“ぐわし”できるのかよ指の関節どうなってんだよ。

 

作中竜胆くんが挙げた映画は存じあげないけど『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』という映画を思いだしました。あれはおもしろかったなぁ。狼男軍団とケンカしてるシーンとかシュールでね、人間から見たらどっちもどっちだぞ、みたいな。おっと話が逸れた。

 

昔、母方の祖父の家に帰省すると夜中なのに空のむこうにぽおっと光の筋があって、もしかしてUFOかなぁと思っていたら「パチ屋のサーチライトだぞ」って父にロマンをぶち壊されたことを思いだしました。夢壊すなよ!自分もオカルト番組めちゃくちゃ好きなくせに!

 

 

 

第三話 竜胆くんと宇宙人

竜胆くんの部屋を訪れていた雛子は不注意で彼のパソコンからおかしなメッセージを再生してしまう。『地球のみなさん、私はいま冥王星のそばにいます。誰かいませんか?』それは冥王星にいる“宇宙人”からリアルタイムに受信しているメッセージだった!?長年夢見てきた宇宙人との接触に心躍らせながらも慎重に一問一答のやりとりをつづけていく竜胆くん。ところが次第にその顔から笑顔は消えていき…竜胆くんは一体なにに気づいてしまったのだろう?

お待たせしました、第3話です。

 

「でも竜胆くんの心が折れたままだと、奇跡はここで終わってしまう。私は奇跡の先が見てみたい」

 

(P269/L15~16より引用)

 

1話2話とさらりとした読み心地だったので3話もまぁこの調子なんだろうなぁ~とタカをくくっていたら、後半から怒涛の胸熱展開。心臓が熱くなって、目尻に涙が浮かんできて、ジェットコースターのようにノンストップの急上昇・急降下・急旋回で物語を追って、エピローグまで駆けぬけて最後には放心。ここどこだっけ…ああミスドか…めちゃくちゃ盛りあがってきたところでスマホにメッセージがあって「今いいところ!本が!!」って急いで打ったあと邪魔すんな!ってポケットにねじこんだきり記憶がない。そもそもなんのメッセージだったんだ?

 

「おわった!」

 

ああ、人と待ちあわせしてたんだっけ。適当にメッセージぶん投げたあと10分も相手放置して読みふけってしまった。「ミスドどこ?( ・▽・)」めっちゃ迷子になってる。探しにいこ。

 

――と、ここまでがミスドでメモした感想なんですけど、記事を書くにあたり改めてパラパラと読みかえしてみても、やっぱり、最後の“RN”と“ET”のやりとりで泣いてしまいます。雑誌を通して自分たちの言葉や想いは誰か/なにかに影響する力をもつことを知っている雛子と、地球のほんの片隅から抱えきれないほどの知識と憧れを持って宇宙人に恋焦がれる竜胆くんだからこそ選ぶことができたあの言葉、答え、なのでしょう。

 

たとえば『はやぶさ/HAYABUSA』とか、『ドリーム』とか、そういう映画を観たような気持ちになりました。観たことないけど。

 

 

 

宇宙人新規、大気圏突入の準備できています。

たぶんジャンルとしてはミステリー小説なので、ネタバレを避けようとするとどうしても核心に触れることができず、主にキャラクターや各話から想起した映画の話になってしまいましたが、『それは宇宙人のしわざです 竜胆くんのミステリーファイル』感想、いかがだったでしょうか?最悪、竜胆くん × 雛子が最高に萌えること第3話が胸熱で感動することが伝わればいいかなと思っています。

 

初読の作家だったのでカバーそでのプロフィールをじっくり読んでみると、「単行本は今回が初めて」。Twitterも拝見させていただいたのですがなんと今作は「五年ぶりの完全新作」なんだそうです。その完全新作にまんまとハマッたのが私です。新規のファンさっそくここにあらわれたり。ここから読みはじめた人はなんて呼称されるんだろう。「宇宙人新規」?「竜胆くん新規」?

 

第3話を読んだ感じ、一応この1冊で終わってもきれいにまとまって見えるけれど、雛子は月刊アトランティスに配属されたばかりだし、第2話を見るに雛子と金本さんが取材で一緒に動くのを竜胆くんはおもしろく思ってなさそうだし、これが三角関係に発展したら私の萌えゲージが限界突破で大気圏突入するし、竜胆くんと彼の家族との壁もまだあるし、まだまだつづきそうな気配があるので続編が出たら読みたいな。

 

大気圏突入の準備して続編待ってます!

 

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。