残暑お見舞い申しあげます。麦Pです。

 

今日も私の担当アイドルたちはかわいいのですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?我らがCANDY ISLANDが歌う『Happy×2 Days』にうたいわけ機能が実装されましたね。聴きました?この神機能のせいで私のデレステは最近『Happy×2 Days』のMV再生機と化しています。

 

信じられないことに推しが毎日かわいいというHappy×2 Daysな人生を送っているせいでしょうか。あるとき風呂で杏のラップについて思いを馳せていたら気づいたことがあるので、今日は『Happy×2 Days』のちょっとした考察を記していきます。というか、普通にただCANDY ISLANDが好きな人の妄想です。

 


1.杏のラップはアドリブなのか?

 

恋する女の子の幸せいっぱいな気持ちを描いた、正統派のキュートアイドルソング……なのだが、歌詞の内容と一切関係なく、曲のバックでラップを口ずさむ杏のフリーダムさがとにかく目立つ異色曲。杏はサビ以外のパートは一切歌わず、残りの2人が歌う部分に茶々を入れたり、いつも通り帰ろうとしたりとやりたい放題である。武内Pはどういうコンセプトでこれを企画したのであろうか。

 

(ニコニコ大百科(仮)「キャンディアイランド」より)

 

実際曲中でも「あんずはいつでもフリーダムなのだ〜」と言っていますし、私もこれまであのラップは杏のアドリブだと信じて疑わなかったのですが、今回うたいわけ機能によりかな子と智絵里のラップを聴いたことでラップパートは意図されたものなのではないか?と思うようになりました。

 

杏はともかく、かな子や智絵里の性格を鑑みるに歌唱中にアドリブを披露するような度胸や技術はないように思われます。ライブ中と想定されるデレステのうたいわけMVを見ても2人のラップパートは流暢ですし、そもそも上記引用に記載されたとおりあのパートが「やりたい放題」なのだとしたら周囲のスタッフにも少なからず迷惑がかかるわけで、そのリスク(とくにかな子や智絵里の場合は失敗するリスクが大きい)を考えればプロデューサーがアドリブを許すとは思えないのです。

 

しかし、仮にそれぞれのラップパートがアドリブに見せかけた規定の歌詞であったとすればかな子と智絵里がライブ本番でもリラックスして歌唱できることに納得がいき、さらにプロデューサーとしてもこのパートで3人それぞれのキャラクターをアピールできるのでおいしい。杏の突然のラップに対してかな子も智絵里も「なんでやねん」と冷静にツッコミができるあたり、あらかじめ決められた歌詞であると考えていいのではないでしょうか。

 


2.『Happy×2 Days』のコンセプトとは?

となると、はたしてプロデューサーはどういう意図でこのラップパートを設けたのか。『Happy×2 Days』のコンセプト、それは恋する女の子の「脳内会議」だったのだと私は考えます。

 

歌詞は、「あなた」に恋をしている「私」という女の子の内面の物語です。全編を通して主観的な内容であることから、ラップパートが正式な歌詞であるとすればフリーダムこそジャスティスな「あんず」もまた「私」の一側面であると考えることができます。コミュ確認したんですけど、杏って一人称「杏」なんですよね。つまりひらがな表記のこの「あんず」は『Happy×2 Days』の世界におけるキャラクターだとも考えられるわけです。

 

ここで、ラップパートが( )で表記される点について考えてみましょう。2番のサビに「素直な私を見せたくて」とあるので、ラップパート以外の、その他かな子と智絵里がメインで歌っている歌詞は「私」の本音の部分と考えてよさそうです。「あなた」に知られていない素直な内面の世界でさらに( )が用いられるラップパートとは、反対に素直になれない部分をあらわしているのではないでしょうか。

 

彼のことを想うと、夜は秒速で過ぎていくけれど……あれこれ悩むのはあとあと!布団にもぐってゲームにネットに夜更かし三昧しよっと。明日も学校あるけど関係なし。フリーダムこそジャスティス!彼のことは、まぁたぶん好きだけど(ごにょごにょ)、それ以前に私は私。自由だもん。あとのことは明日の恋愛モードの私に任せまーす。じゃっ!( ´ ▽ ` )ノ

 

杏、かな子、智絵里、それぞれのラップパートに共通するのは「現実逃避」です。杏はゲームやネット、かな子はマフィン、智絵里はお守りなど、それぞれなにかと理由をつけてこの脳内会議から離脱しようとします。2/3、ほとんどの部分で「あなた」を好きと思っているけれど、あとちょっとのところでそれを認められない。認めるのがこわい。ゆえに現実逃避してしまう自分がいる。そうした経験は女の子なら誰しも一度はあるのではないでしょうか。

 

逃避とは少し違いますが、一人の女の子の中で考えがあまりに剥離しているというのは同じアイドルの楽曲としてモーニング娘。の『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』『彼と一緒にお店がしたい!』に通じるものがあります。

 

 

この2曲はA面のアウトロから(5:08~)B面のイントロがつながっているようにつくられていて、恋をする女の子は彼との未来も妄想しつつ、地球の平和も願ってしまうほどハッピーであるみたいな飛躍っぷりが逆にリアルだとリリース当時私の中で話題でした。

 

好きに極振りできたらこのくらいの両立もできるのですが、『Happy×2 Days』の「私」は好きに振り切れない奥手な女の子。私と彼ってみんなにはどんなふうに見えてるんだろう。……そんなこと考えたらどんどん自信がなくなっちゃうから、今はとりあえず別のことを考えて忘れよう。そういう剥離の仕方なのだと思います。この「とりあえず」が押しよせる不安に対する焦り→早口→ラップにつながっているのだとしたらなかなか考えられたシーンです。「素直になれないときには」の歌詞にかぶせているところが憎い。

 

このように、ラップパートの語り手はそもそもメインで描かれる恋する「私」とは別の、言うなれば恋に臆病な「私」であると考えれば、唐突で脈絡のないように思える歌詞にも納得感が生まれませんか?

 


3.あまのじゃく「あんず」の心の動き

1番ではフリーダムだった杏のラップですが2番になると歌詞の中に2ヶ所「…」と妙な間があり、徐々にかな子や智絵里が歌う素直な恋心に押されかけているのだと見てとれます。

 

「お薬出しとくね」
「いりません」

 

はっきり断られることでいよいよマジな雰囲気に耐えられなくなり、Cメロ前には「これにて失礼」。

 

「え?まだ終わってなかったの?」

 

ところが脳内会議は終わっておらず(この会議、終わらせたいけど終わらせたくない→認めたくないけど好きと認めたいという複雑な恋心!)、最終的には「ぎゃー!!」などとふざけつつも「あなた」と手押し車で坂道を下る未来を一緒になって想像するように。ラスサビへとむかいます。こうしてHappy×2 Daysな未来を夢見ながら、きっと本当になる。そう信じて恋する「私」の悩ましくも幸せな1日は幕を閉じます。

 

「ひぇっくしゅん!!…うぃ〜」

 

やっぱり少しの照れ隠しもありながら。

 


 

というわけで、『Happy×2 Days』における杏ラップはじつはあらかじめ用意された歌詞なのではないか?という可能性から現実逃避に見る恋する女の子の葛藤、その心模様の移り変わりを考察していきました。くりかえしますが、最後までただCANDY ISLANDが好きな人の妄想です。満足しました。まとめると、CANDY ISLANDは今日もかわいいということですね。

 

以上です。

 

参考サイト

キャンディアイランドとは(キャンディアイランドとは)[単語記事] – ニコニコ大百科
https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。