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私が2次元ではじめて好きになった
キャラクターはFF9のジタンです。

 

最初は兄がプレイしていたのを
横で飽きずに見ていたのですが、
高校生のときには自分でプレイ。
過去3回ほどクリアしたんです。

 

当時はたぶん、
ジタンの言動に惚れていたのでしょうが、
子供のときの趣味嗜好ってすごいですね。
未だに好きになる2次元がほぼ獣人です。

 

このあいだ、
歴代好きなキャラクターを挙げてみたら、
人狼に人虎に生きものですらないのまで。
着実に人外ストライクゾーン広げてます。

 

ジタンの罪は重い。
FF9リメイク未だに待ってます(キレ気味)

 

 

今回はそんな〈人外〉たちのおはなし。
安萬純一氏『王国は誰のもの』読了です。

 

安心してください、
私みたいな趣味じゃなくても読めますよ!←

 

 

***

 

上手くいかない部活の人間関係。
母に家事を押しつけられる家庭。
わたしはどこにも居場所がない人間――。

 

悩める女子高生・樫岡莉世の生活は、
自宅前で弱っていた不思議な少年との
出会いによって一転することになった。

 

僕の助手にならないかい?

 

彼の手には一通の手紙。
それはある大金持ちがこの山の頂上に建てた
現代日本に現れた“王国”への招待状だった。

 

コンサルタントとしてそこへ仕事に行く、
大きな帽子にひ弱な身体のアルビノの彼。
莉世は学校と家庭を捨て彼に同行することに。

 

中世欧州風に造られた、
リッフェントローフ城の中で起きた王の殺害。

 

容疑者はなんと、
吸血鬼に狼男にミイラにゾンビ。

 

殺された王。
4人の怪人。
白い髪と身体をしたわたしの上司。

 

不思議な王国と不思議な人々(?)による
不思議な不思議な“超変”ミステリー。

 

***

 

正直誰彼かまわずおすすめはしません。
好みが分かれるおはなしだと思います。
小林泰三氏『アリス殺し』と似た印象。

 

ただハマる人にはとことんハマりそう。
私なんかは読み終わってしまうのが惜しくて
なんだかんだ読了までに1週間かかったので。
(普通に読んだらもっと早かったと思います)

 

 

特徴として、
文章は慣れるまでちょっと癖?を感じます。

 

安萬氏の独特のものなのかもしれませんが、
ただでさえ相関図や舞台設定が複雑なので、
設定や世界観で好きになれないと厳しいかも。

 

中世欧州風な城(ただし現代日本)。
吸血鬼や狼男、ミイラ、ゾンビがいる世界。
アルビノにしてもうただただかわいい冴島丈。

 

女性が好きそうな要素はいっぱいあるので、
個人的には挫折せずに読んでほしいところ。
怪人たちもみんな需要ある性格してるんですよ!

 

 

ミステリーとしては、
良くも悪くも“てんこ盛り”という印象。

 

ファンタジー要素は汲みつつ、
ミステリー部分は意外としっかりしていました。

 

本筋は予想外の真相だったのに
丈にまつわる真相だけ推理が当たる私。
私どれだけ丈のことが好きなんだろう…。

 

とにかく読みはじめたらなるべく一気読み推奨。
私は間隔空けて読んだことを若干後悔しました。
そのくらいテンポ重視で真相もややこしいです。

 

登場人物の数。
怪人がいるという前提。
現代日本でありながら独立した“王国”であること。

 

受動的に読むと嫌になるような複雑さですが、
積極的に謎に挑もうと思って読めばあるいは
新鮮な要素として楽しめるのかもしれません。

 

たしかにこの布陣でないと描けないのもまた事実。
本文・表紙・タイトル全部伏線も回収しています。

 

 

個人的には続編が出ること全裸待機。

 

「僕の助手に術をかけるのはやめてもらおうか」
えっ、誰、丈?
我に返る。振り向くと丈の姿があった。
薄く赤い目でカイルを睨んでいる。

 

ハァーーーーー(*´Д`)ーーーーーン!

 

「あんた、勇気があるんだな」
引田だった。(中略)
「どうもありがとう――」
間近で顔を見て少しどきっとなる。(中略)
「水のおかわり」
横から丈が怒ったようにいう。

 

莉世ちゃんと丈が末永く爆発することを信じています。

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。