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母はパート勤めなのですが、
職場の愚痴をしょっちゅうこぼしています。
顔を合わせて第一声が愚痴ということも多々。

 

愚痴を聞いていていつも思うのは、
女はいくつになっても面倒臭いなぁということ。

 

最近はメディア等でよく
女性同士の性格の悪さがネタにされますが、
女は子供の頃から大人になっても派閥云々。

 

群れるというのは
得られるものもあるにはあるんですけどね。
私は1日1回の愚痴で空気を読む腕が上がりました←

 

今回はそんな女の派閥のおはなし。
柚木麻子氏『王妃の帰還』を読了しました。
いわゆる“学園カースト”のおはなしです。

 

 

 

***

 

前原範子。
私立女子校中等部2年生。
クラスの“地味グループ”所属。

 

友達は、
空気が読める大親友のチヨジ。
控えめでおっとりしたスーさん。
ハーフで毒舌な妹キャラ・リンダさん。

 

地味ながらも気の合う仲間。
グループはあれど平和だったクラス。

 

それは「腕時計事件」の公開裁判によって、
あるいは「王妃」が陥落したことによって、
そして彼女をグループに迎えたことによって。

 

すべてのグループの調和は一気に崩壊した。

 

穏やかな日常を取り戻すため、
範子たちは〈王妃の帰還〉を企てる。

 

革命だ。
この無意味な争いを終わらせる。

 

かわいい顔して傍若無人。
わがまま王妃が帰る場所はどこなのか。

 

***

 

 

 

スクールカースト(または学校カースト[1][2])とは、
現代の日本の学校空間において生徒の間に自然発生する
人気の度合いを表す序列を、
カースト制度のような身分制度になぞらえた表現。
もともとアメリカで同種の現象が発生しており[注 1]、
それが日本でも確認できるのではないかということから
インターネット上で「スクールカースト」という名称が定着した[1]。

(ウィキペディア「スクールカースト」より引用)

 

学園カースト小説といえば、
朝井リョウ氏『桐島、部活やめるってよ』
高校時代に読みましたが個人的にこれはイマイチ。
女性だからかこちらのほうが肌に合っていました。

 

主人公・範子をはじめ、
他の登場人物も個性的でわかりやすいし魅力的。
ギャル、優等生、地味、変化球、そろってます!

 

最初は「なにこいつ…」って人もいますが、
読んでいるうちになんだかんだ愛着湧くんですよ。
結局みんな同じように“普通の女の子”なんです。

 

言葉自体は最近聞くようになりましたが、
私も中高生の頃にやはりカーストを経験しました。

 

範子と同じように“地味グループ”にいましたが、
目立った行動をとれば中心グループから陰口とか。
だから範子たちの気持ちがすごくわかるんですよ。

 

それにしても、
女ってどうして派閥を作りたがるんだろうな。
グループの垣根なんてなくして、
一人一人の個性を認め合って、
クラス全員と等しく仲良く出来れば一番なのに。

 

男性陣の意見はもっともですが、
面倒臭い女の子たちのこの戦場を、
男性も是非読んで体感してみてほしいのです。

 

おはなし自体は非常にテンポが良くて、
範子もわかりやすい性格をしてますし、
展開についていけないということはないと思います。

 

範子がどれくらいわかりやすいかというと、

 

どうしてこれほど乱暴なことが出来るのだろう。
一見、普通の女の子なのに、
彼女の中には何が棲んでいるというのだろう。

 

↑ 序盤の範子
↓ 終盤の範子

 

楽しい? いや、気持ちいい?
いや、誇らしいというのが一番ぴったりくる。
正しいことをやっているという絶対の自信。
力の限り相手を痛めつけても批判されない安心感。
(中略)
さぁ、この女をどう料理してやろう。

 

とてもわかりやすい(笑)
どうしてこうなったかは是非読んで御確認あれ!

 

 

 

ここでふたたび男性の意見を聞いてみましょう。

 

気分はころころ変わるし、
無邪気な顔で悪魔みたいなことを平気でする。
何を考えているのかさっぱりわからない。

 

本当にそうでしょうか。
彼女たちは悪魔なのでしょうか。

 

作中でくりかえし描かれるのは、
そこには気の合う仲間たちがいて。
それぞれが大真面目に悩んでいて。
誰かに慕われて、そして、愛されて。

 

だけどそれは「教室」を出てしまえばみんな同じで。

 

本当に悪魔がいるのだとしたら、
おそらくそれは「教室」という小さな世界そのものでしょう。

 

女はいつも惑わされてはいけない。
学校も職場もそこは“世界”ではないということ。
グループというのは“階級”ではないということ。

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。