Melancholy photo

 

 

みなさんには恐怖症がおありでしょうか?

 

私は物心ついたときから、
どういうわけかとにかく“人工物”が怖い。

 

テーマパークにある、
建物の中をまわるアトラクションは苦手です。
人形はもちろん空間そのものがもうダメなんですよね。
視線恐怖症もオープンスペース恐怖症も要因かもしれない。

 

兄が脱出ゲーム好きで、
私も謎解きは好きなのでよくその手の体験型施設(※)を
勧められるのですが冷静に謎解きしている余裕絶対ない。

 

※気になった方はこちらをどうぞ。
「脱出ゲーム・謎解きイベントの口コミ・まとめ情報│なぞとも」
http://nazotomo.com/

 

ウチの父と兄は高所恐怖症だそうです。
ジェットコースターも苦手だとのこと。
私は一応乗れますがUSJのあれは恐怖しかなかった…。

 

そんなわけで、
今回は恐怖症のおはなし。
美輪和音氏『ゴーストフォビア』読了です。

 

 

 

幽霊 VS 2人で1人の霊能力者


 

 

行方不明者を捜すことになった
自称・サイキック探偵の芙二子と、妹の三紅。

 

いなくなった女性の自宅で三紅は、
心酔する霊能者に似たクールな男性と出会う。

 

偶然、
三紅が神凪というその男の体に触れた瞬間、
聴力を失ったはずの右耳から、
不思議な声が聞こえてくる。

 

一方で、
神凪も見えないはずのモノが──。

 

『強欲な羊』で読者の度肝を抜いた新鋭が、
恐怖症をテーマに贈る連作集。

 

※あらすじは東京創元社HPより抜粋しました。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488448127

 

 

 

美輪氏といえば
以前読んだ『強欲な羊』が記憶に新しいですが、
今作は作風が変わりライトな感じになりましたね。

 

あちらの最終話が似た雰囲気を持っていますが、
こちらはもっと露骨にオカルトで霊がバンバン出てきました。

 

創元推理文庫から出ているけど
ミステリーというよりほとんどホラーだったように思います。

 

私は幽霊ももちろん怖くて苦手なのですが、
オカルト全開だった今作を読みきれたのには
主人公である三紅の姉・フジコの功績が大きかった。

 

「無料(ただ)で幽霊が見られるなんて、
超ラッキーじゃない。楽しんで!」

 

彼女は、そう、ポジティブすぎる

 

出る作品を間違えているように見えて、
彼女が場を荒しまくっているからこそ、
じつはあまり怖がらずに読めるんですよね。フジコっょぃ。

 

 

 

フジコをはじめ、
キャラクターの個性によって怖さは和らげてあるものの、
容赦がなくて救いのないおはなしという印象を終始感じました。

 

視えて、聞こえても、結局意味がなくて。
「(恐怖症は)慣れるしかない」と神凪も言っていましたが、
たぶんそれは〈幽霊〉という対象にすらも言えることで。

 

人間いろいろ、だったら、
人間だった幽霊もまたいろいろ、なのかもしれません。

 

以下、各話の感想です。

 

 

 

「この世で一番怖いものはなぁに?」


 

 

ゴーストフォビア:

 

窓もない風呂場に閉じこめられ、
パニックになって死んだという閉所恐怖症の女性、ハコさん。
この話を聞いてしまった人のところにハコさんはやってくる。
行方不明になった女子大生はハコさんに連れていかれたのだろうか。

 

一方は無意識(本能的)に。
またもう一方は意図的に。
自分の大切なものを守るために
誰かを蹴落とそうとする対比がおもしろかったです。

 

誰かを不幸にしてまで守ろうとするなにか。
私にはあるだろうか、と、考えてしまいますね。

 

ハコさんを否定するつもりはないけれど、
それが誰かへの復讐じゃなければいいな。
だってハコさん、そんなの、悲しいじゃないですか。

 

最後ゾッとしました。
こ、ここ、怖がらせるんじゃねーよ!フジコのくせに!(泣)

 

 

 

空飛ぶブラッディマリー:

 

ブラッディマリー。
自殺した柴田マリの霊はそう呼ばれているらしい。
彼女に憑かれた者はみんな自殺させられてしまう。
だけど聴力を失った右耳はたしかに聞いたのだ。『ころさ、れた』と。

 

ラスト容赦ないなと、一言、これに尽きます。
犯人と真相を読んだ感じ本人は文句言えないでしょうけど。

 

ちなみに、
私は読んでいて真相が予想できました。
幽霊より犯人の本性のほうがよっぽどホラーです。

 

マリさんが屋上でやっていたことって、
好きな映画で同じ演出を観たから一応ピンときたけど
あれははたしてメジャーな文化?なのでしょうか…?
あの映画以外でまったく見たことがないんですけどね。

 

ネタバレになるので詳しく言えませんが、
P150(L9~10)の犯人のセリフは敵ながら
妙に説得力があり「な、なるほど…!」と思わず感心しました。

 

私は結構好きなキャラでしたけどね、犯人。

 

 

 

ドールの鬼婚:

 

人形作家が住む屋敷には、
見るも無残な姿の人形がひしめいている。
彼女はすべて「娘のため」だと言っている。
美しい黒髪の、球体関節人形に宿った娘の――。

 

個人的に気に入っているおはなしです。

 

人形恐怖症のことは
「ペディオフォビア」というそうです。
前述したように私も結構強めにこの属性持っています。
球体関節人形とかひいひい悲鳴あげながら読みました。

 

普通、
真相をきちんと導きだして終わるのがミステリーですが、
肝心のところが明言されていないんですよねこのラスト。
むしろ明言されていないからこそゾッとして、いいんですよ!

 

誰も幸せにならない真相だったし、
あのあとも誰も幸せになれないだろうから救われない。

 

真相の考察がはかどるおはなしだと思います。

 

 

 

雨が降り出す前に:

 

友人の捜索を依頼され、
訪れたのは異様な雰囲気を醸す1軒の民家。
彼女はかつてここに住んでいた殺人鬼に心酔していたという。
霊道を作った彼女は憧れの殺人鬼に連れ去られたのだろうか。

 

理解されない恐怖というのはつらいものです。
私がどれだけペッパー君の不気味さを訴えたところで
駅の構内とかなんか着々と潜伏先を増やしつつあるし。
正気の沙汰とは思えません、怖すぎる、侵略される…!

 

霊道といえば、
私が小学生のときは
ポスターの目と目を合わせちゃいけないって聞きました。
以来ポスターをむかいあわせて絶対貼らないようにしています。

 

「中にはふざけた恐怖症もあるし」

 

私はビビリで
よくいろんなものにビビッては笑われるけど、
もちろんふざけているつもりはまったくなくて。
本当に、本当に怖いわけで。
それを笑いの対象にするというのはいい気持ちがしない。

 

前に海外の動画で、
ビビリ体質?のような人に
うしろからこっそり「わっ!」と驚かして
反応がかわいい~みたいに紹介しているのテレビで見ましたけど、
ああいうの本人はたまったもんじゃないのでやめていただきたい。

 

 

 

おばけなんてないさ おばけなんて…?


 

 

幽霊といえば、
私は両手の親指にしっかりといわゆる「仏眼の相」があります。

 

※以下URLを参考にしました。
「手相でわかる霊感が強い人・弱い人│霊感との付き合い方」
http://spi-con.com/inspiration-palm-reading/

 

最近気づいたのですが、
左手には「神秘の十字線」なるものもあるようで。
どちらも“霊感があるとされる手相”なんだとか。

 

幽霊を見たことはありません。

 

小学生のときに下校途中、
自分の足の横に赤いヒールを履いた女性の足が
見えていたようなことが一度だけありましたが、たぶん気のせいです。

 

気のせいですよね?

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。