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詠坂雄二氏『インサート・コイン(ズ)』を読了。

 

週末は大概ゲームをしている程度には
ゲームが好きなのであらすじにあった
「往年の名作ゲームを題材に描く」の一文に惹かれ購入。

 

結論からいうと、
ゲームというより〈ゲーム史〉の規模で語られ
コレジャナイ感に読んでいて何回か飽きました。

 

あれ、この感覚、私知っているぞ。
そうだ『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』読んだときだ!

 

※参考

 

キャラクターやストーリーよりも
システムに造詣がある・興味がある人が読むべきですね。
前者の意味でゲームが好きな人にはおすすめできません。

 

 


 

 

ゲーム誌ライターの柵馬は、
新たな記事を書くために、日夜奔走する。

 

動くキノコを求めて奥多摩へ。
共にゲームに明け暮れた初恋の人が抱えていた秘密。
尊敬する先輩ライターが残したメッセージの意味は?

 

憧憬は現実に直面し、
諦観に押し潰されそうな日々に、
僕たちはどんな希望を抱けるのか?

 

往年の名作ゲームを題材に描く、
シニカルでほろ苦い五編の青春ミステリー。

 

※あらすじは光文社HPより引用しました。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334773656

 

 

 

正直にいうと、
物語に魅力を感じませんでした。
本を開いては数ページで寝落ち、のくりかえし。
読後も「終わった…」とただ放心するばかりでした。

 

得るものはなにもない、
とまではさすがに言いません。
ただ〈青春ミステリー〉というのはちょっと違う。

 

ミステリーっぽさがあるのは
2話目の「残響ばよえ~ん」だけだし、
他はミステリーというよりも仕事観や文章の可能性など
まったく違う部分に焦点が当たっていたように思います。
実際そっち方面で読むと響く名文はすごく多いんですよ。

 

「記述者が理解する真実だけでなく、
より深いものが勝手に伝わることもあるのですよ」

 

素人とはいえ、
文章を書いて発信する身としては
勉強になったし肝に銘じておきたい。

 

 


 

 

帯には「米澤穂信推薦!」とありますがなるほど納得。
読後感は米澤氏の『ボトルネック』にたしかに似ている。
あちらが好きな人はこちらも波長が合うかもしれません。

 

人生のやりきれなさ。
諦観したいけどウジウジしている青臭い感じ。
小難しく世を眺めていたい人にはハマるかも。

 

サブカルを題材にしながら
純文学のような閉塞感があって不思議な1冊。

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。