【前回までのあらすじ】

 

2020年も上半期が終わり、めちゃくちゃ今さらになって2019年に読んだ小説の総括をしていなかったことに気づいた佐々木麦こと佐々木麦。例によって相方・わかばを召喚したものの、今回はおもしろかった小説の設定を組みあわせて“個人的に一番おもしろい漫才”をつくろう、ということになってしまう。約1時間のネタづくりを終え、2人は無事“個人的に一番おもしろい漫才”を披露できるのか!?

 

おもしろかった小説の設定を組みあわせたら“個人的に一番おもしろい漫才”もつくれるのか?【ネタづくり編】

 


 

どうもー、麦とわかばです。よろしくおねがいします。

わかば
あ、よろしくっ!おねがいっ!あ、いたしまぁす!

よぉ~!

わかば
イテ!おでこ叩いた!

打ちあわせのときに「かぶくな」って言ったでしょうが。

わかば
あ、こりゃ失敬っ!

だから見得を切るなって。

わかば
ところでさ、最近読書したいなぁ〜って思ってるんだけど。

あら、いいじゃない。

わかば
麦さんはさ、読書家じゃないですか。

自他ともに認める読書家でございますよ。

わかば
オススメの小説とか教えてくんない?

あ~、読書が好きって言うとすぐ「オススメ教えて~」って言ってくるヤツ大っ嫌いなんですよ。

わかば
え?

そういうヤツは訊くだけ訊いて絶っ対読まないからね!オススメ訊きたいならさ、「私が好きだからオススメしたい小説」なのか、おまえの趣味嗜好を分析したうえでオススメする「おまえにオススメしたい小説」なのか、どっちの「オススメ」なのかはっきりしてくれる?

わかば
急に鬼厳しいじゃん。読書家こわっ。じゃあ麦さんが好きでオススメしたい小説教えてよ。

…………。

わかば
うわぁ。……今ね、なんか、めっちゃにらまれてるんですけど。大丈夫!紹介されたからにはちゃんと読むって!

しょうがないな。それじゃあ私が2019年に読んだ小説の中からとくにおもしろかった10冊、紹介しましょう。

わかば
やったー!ありがとう!ヒュウィゴー!

 


 

まずはね、ショーニン・マグワイアの『トランクの中に行った双子』。

わかば
へぇ、不思議なタイトルね。

これ3部作で2作目の作品なんだけどね、まぁざっくり説明すると、正反対に育てられた双子がトランクの中の異世界に行っちゃう話。

わかば
なるほど。双子っていうことは……ザ・たっちのイメージでいいかな?

違うよ?

わかば
あ、ダイタクのほう?

違うよ?

わかば
そっかそっか、吉田たちのパターンね。

だから違うんだって!なんだよその無駄に豊富な双子芸人知識!そもそもこの双子女の子だからね。

わかば
女の子か!

そう。で、双子の女の子が生まれたときに、一方は髪もさらさらロングでかわいい洋服着て、女の子らしく育てられて、もう一方は髪もショートでスポーツやらせてボーイッシュに育てられたの。

わかば
つまり女の子だけど男の子っぽいかずやと……ん?たくや?あれ?

ザ・たっち忘れろ。どっちかっつーとマナカナだわ。……いやそんなんどうでもいいわ!

わかば
まぁまぁ、話題が幽体離脱しちゃってるから。『トランクの中に行った双子』のハ・ナ・シ。続けて続けて。

それでね、ある時、双子が空き部屋の中でトランクを見つけて、開けてみたらなんと中に階段があるの。長~い階段を降りてみると、そこは赤い月に照らされた異世界が……!

わかば
おお~。……トランクの中に人が入るってなんか既視感あるよね。

は?

わかば
ん~~~~~。

わかば
エスパー伊東!

エスパー伊東!

ではないからね。

わかば
こりゃ失敬。続けて。

異世界はね、ヴァンパイアの王が治めてる国なのよ。

わかば
いいねぇ、面白くなってきた。じゃあヴァンパイアはねぇ、うーん……。

あの、なにに悩んでるんです?

わかば
ヴァンパイア……ヴァンパイアといえば、牙。よし、明石家さんまにしよう!

強調される歯の位置が違う!ヴァンパイアは八重歯だから。あの人強調されてるの前歯だから。ってか「しよう」ってなに?さっきからなんなの?芸人に喩えないと死ぬ病気なの?

わかば
だいたいわかった。エスパー伊東的な明石家さんまがトランクの中の異世界に築きあげたヴァンパイア王国を、ザ・たっちが攻略していく、って話ね。

全然違うわ。

わかば
『勇者ヨシヒコ』風にドラマ化したらちょっとおもしろそうだよね。

それはそう!

 


 

わかば
ねぇねぇ2冊目は?

まったく、次はちゃんと話聞いててくださいよ。2冊目は石川宗生の『半分世界』ね。

わかば
これはまた不思議なタイトルね。

今回は短編集なので表題作だけあらすじを説明しますよ。

わかば
おねがいします。

これはね、ある日突然ごくごく平凡なとある家庭がまっぷたつになっちゃうところからはじまります。

わかば
麒麟の田村の親父みたいに「解散!」って?

そういう意味のまっぷたつじゃなくて。家がね、こう、シルバニアファミリーのおうちみたいな状態になっちゃうのよ。

わかば
あ、家そのものがまっぷたつに?

そうそう、こっち側前半分が切り落とされてるみたいな。

わかば
とんでもねぇ状況。

それでどうなるかっていうと、じつはどうもならなくて、ここに住んでる藤原さん一家は何事もなかったかのように普通に生活を続けてるのね。で、向かいにはマンションが建ってたりするんだけど、そのマンションの各部屋がもうまっぷたつの藤原さん宅と一家を観察する野次馬で連日いっぱいになっちゃって。流行っちゃうのよ、藤原家の観察が。

わかば
野次馬というかもはやファンだよねそれ。

そうそう。作中ではそいつら「フジワラー」って呼ばれてるんだけど。フジワラーがね、向かいのマンションから一日中、藤原一家を観察してる。

わかば
なるほどな!なるほどな!なるほどなるほどなるほどな!

急になに?

わかば
まっぷたつになった藤原家のリビングでさ、やってるんでしょ、原西が。

あ、「藤原」ってそっちのFUJIWARAじゃないから。

わかば
え?年がら年中FUJIWARAのライブ見まくってる人たちの話ってことでしょ、つまり。

なんばグランド花月かな?いや違うけど!?

わかば
なんばグランド花月がまっぷたつになって誰でもタダでプロの芸人のライブが見れるようになった世界、それが「半分世界」。でもね、好きな芸人のネタだからこそ、やっぱり全然関係ない一般人が違法アップロードした無料のネタなんて見てないで、ちゃんと劇場に足を運んで、しっかりお金を払って、“生”でライブを“観た”ほうがいいって――俺は思うけどね。

え、全然違うメッセージ発信しないでもらっていい?

 


 

わかば
次いきましょう次。

3冊目はね、上田早夕里の『夢みる葦笛』です。今回も短編集ですから表題作だけかいつまんで説明しますけど。

わかば
おねがいします。

まず、人型頭イソギンチャクが突如町にあらわれるのね。

わかば
みんなまあるくタケモトピアノ~♪

あー、やっぱ人型頭イソギンチャクっていうとタケモトピアノのCMのダンサー思いだすよね。まぁそれはともかく、そのタケモトピアノが発する音というか鳴き声みたいなものがね、すごいきれいな音色らしくて。あちこちで人を魅了しちゃうわけ。でも、主人公はそれをちょっと不気味に思ってる、と。

わかば
なるほど、人型頭イソギンチャクのリズムネタね。

違うなぁ。

わかば
数多のリズムネタが人々の心を魅了し、消えていった。そんなお笑い戦国時代、新たなリズムネタをひっさげ、一匹の人型頭イソギンチャクの挑戦がはじまろうとしている――。

違うんだよなぁ。

わかば
風の中のす~ばる~♪

プロジェクトXにすんな。

わかば
まぁ一世を風靡したリズムネタといえば最近だと「チョトマテ チョットマテ オニイサン」とかね。麦さん覚えてます?

あー、なつかしいね8.6秒バズーカー。……いや「ラッスンゴレライ」のほうで覚えろよ!

わかば
あチョトマテチョットマテたくやサン!

そこ「オニイサン」でいいから。ザ・たっちのオニイサンのほう呼ぶな。

わかば
タケモ~ト~ピ~ア~ノ~で~売ろうとし~た~ら~、ピ~ア~ノ~持ってませんでした~、チッキショーッ!

小梅太夫!

わかば
あ~いとぅいまて~ん!

ですよ。!

わかば
めっちゃ詳しい(笑)。じゃあ次の問題いくよ?

小説の話をさせろーーーっ!

 


 

わかば
じゃあ改めまして、4冊目。

4冊目は、ヨアブ・ブルームの『偶然仕掛け人』。

わかば
必殺仕事人の対義語みたい。

そうそう。

わかば
え、そうなの!?

あっ、違う違う。

わかば
必殺仕事人の対義語って依頼もされないし人も殺さないからなにも物語生まれなくない?大丈夫?

単純に響きが似てるだけだったわ。ごめん、落ちついて。

わかば
焦った。ボケたつもりが正解したのかと思った。

それは絶対にないんだけど。とにかく『偶然仕掛け人』は、日常系不思議な話っていったらいいかな、この現代社会にじつは「偶然仕掛け人」っていう、いろんな偶然を仕掛けてる職業の人たちが存在するっていう世界観なのね。

わかば
へぇ、そういう職業なんだ?

そうそう、普通の人は知らない秘密の仕事。

わかば
対義語じゃなくて本当に必殺仕事人っぽい。

そうなの。たとえばさ、本屋でAさんとBさんが偶然同じ本を手に取って「あ!」みたいなシチュエーションあるでしょ?AさんとBさんはそれ偶然だと思ってるんだけど、本当は「偶然仕掛け人」がまずAさんとBさんが同じ本屋に行くように裏で工作してるの。で、いろんな偶然を仕掛けていって最終的に同じ本を取るようにしてました、みたいな。この「偶然仕掛け人」になるために若者が奮闘する話。

わかば
なるほど、放送作家だ。

え?

わかば
このコント番組めっちゃ面白いなぁ~って思うでしょ。芸人って漫才もできるし、コントもできるし、MCもひな壇もできるし、万能なんだなぁ~って思いますよね。けど違うのよ。その陰には構成作家の支えあり!このトークその場で偶然撮れたの?否!全部鈴木おさむのおかげ!

好きな番組は?

わかば
『勇者ああああ』

『勇者ああああ』の放送作家岐部昌幸だろ。

 


 

わかば
5冊目はどんな小説?短編集?

そう!次はスティーヴン・ミルハウザーの『私たち異者は』ね。

わかば
ほっ。

「ほっ」てなに?

わかば
いや、やっとお笑い以外のジャンルから選んでくれたーと思って。安心した。ほっ。

今までもこれからもお笑い以外のジャンル選んでるんですけど?

わかば
今回の表題作は医療系ね。

あー、イシャってドクターのほうの「医者」じゃないんですよ。異なる者と書いて「異者」。端的に言うと幽霊のことです。

わかば
あらおしゃれな言いまわし。さすが海外の小説。

これはね、主人公の男があるときね、ふとベッドの上で寝てる自分を見つけて。「これ俺じゃん」って。どうやら自分は、生きてる人間には見えない異者になっていたらしい、って気づいて途方にくれる……こういうはじまりかたなの。ホラーと思いきや全然こわくなくて、むしろ寂しいような悲しいような、そんなお話ですよ。

わかば
へぇ~。……また!?

「また」とは?

わかば
どんだけザ・たっち好きなの?

いや「ゆーたいりだつー!」じゃないから。ベッドの上で寝てるのたくやでもかずやでもねぇわ。

わかば
『トランクの中に行った双子』がザ・たっちシリーズ2作目ってことは、こちら3作目?1作目はオススメじゃないの?

勝手に〈ザ・たっちシリーズ〉をつくるな!

 


 

わかば
いやぁ、オススメの小説訊くの楽しいね。ねぇ麦さん。どうしたんです壁のほうむいちゃって。

疲れた~。もうやりたくないよぉ~。全然話聞いてくれないし~。

わかば
あと5冊!あと5冊だからがんばろ!ほら6冊目のオススメ教えて!おねがい!このとおり☆

次ぃ?……次ね、次は詠坂雄二の『人ノ町』っていう小説。主人公はいろんな町を旅してまわってる旅人なんだけど、それぞれの町でちょっとした事件が起きて、主人公自身にも大きな秘密があって。町ごとに1つの短編になってて、女性旅人版『キノの旅』っていえばわかる人にはわかるかな。まぁつまりは連作短編集ですよ。どの話もやるせなくてねぇ。

わかば
なるほど、いろんな町に行って、いろんな人に出会って。

そうそう。

わかば
うっかり路線バス乗りそびれちゃったりね。

違うな。

わかば
土日の昼にやってる町ブラ系番組ってことでよろしい?

ううん、全然よろしくない。

わかば
どんな町ブラつくのかちょっと教えてよ。

犬の町とか、石の町とか、北の町とか……。

わかば
今回旅人がむかったのは、北の町!このあと絶品の北海道グルメが続々登場で旅人悶絶!?

北海道って言っちゃってるじゃねーか。北海道じゃねぇよ。「北の町」っていう町だよ。

わかば
今日は北の町におっじゃまー!

「ウチくるっ!?」になってるから。あれ旅番組じゃないから。……っていうか『人ノ町』も旅番組じゃないから!

わかば
あ、有吉と生野アナがやってるほう?

それ『有吉くんの正直さんぽ』。

わかば
めっちゃ詳しい(笑)。じゃあ次、澤部が御朱印集めてるやつは?

『なりゆき街道旅』。

わかば
正解!

小説の話をさせろ。

 


 

わかば
どんどんいこう、7冊目っ!

川添枯美の『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』ね。主人公は作家なんだけど、ある出来事がきっかけで小説が書けなくなっちゃって。でも仕事しないと生活できないでしょ、だもんで喫茶店でバイトすることになったのね。で、その喫茶店っていうのが+αで本の貸し出しもしてる〈貸し本喫茶〉だったと。この〈貸し本喫茶〉っていうのが本好きとしてはすっごい魅力的!

わかば
やりたくなった?

あーいいね、ここで働くのも常連になるのも憧れる。

わかば
じゃあやってみよう!店員やって。俺も店員やるから。

え?

わかば
「ふぅー……。いやぁ~、今日もお客さん来ませんねぇ」

「来ないねぇ」

わかば
「ウチ貸し本喫茶だし、まぁ、本でも読みますか?」

「そうだねぇ」

わかば
……………。

……………。

わかば
どう?

「どう?」じゃねーよ。めちゃくちゃ閑古鳥鳴いてるじゃん!悲しくなったわ!

わかば
憧れだけじゃ、仕事ってできないんだよ?

2人とも店員役だったからだよ!

 


 

わかば
8冊目は?8冊目のオススメ教えてよぅ臆病な司書ぉ~。

さっきの小説のサブタイトル引きずってくんな。次、川瀬七緒の『女學生奇譚』ね。主人公はフリーライターなんだけど、ちょっと変わった設定として、彼は遺伝子的にというか体質的にというか、とにかく「恐怖」っていうものを感じることができないのね。だから、作中オカルト的な結構こわい出来事は起きるんだけど、主人公が全然こわがらないのね。たとえばそもそもの発端として、依頼者から〈読んだら呪われる本〉を預かるんだけど、全然普通に読むのね。私自身はホラー苦手なんだけど、レベル引き継いだ2周目のホラーゲームみたいな「強い」っていう安心感があって、この設定のおかげでおもしろく読めました。

わかば
なるほどね、でもそういう芸人はなかなか使いづらいよ?

なんの話?

わかば
芸人って体張る企画に呼ばれること多いじゃん、めちゃくちゃこわいお化け屋敷入れさせられたりめちゃくちゃこわい絶叫マシーン乗せられたり。そういう時にリアクションが薄いとやっぱり画面映えしないからカットされちゃうよ?大丈夫?彼やっていけるの?

「やっていけるの?」ってこれフリーライターの話だしね。芸人の話してないからね。

わかば
まぁでも安心して!恐怖を感じないことがメリットになる場合もあるから。

話聞いて。

わかば
知ってる?ゴリゴリにこわいホラーゲームを微塵もこわがらずに実況することで有名な、ガッチマン。

ゲーム実況者じゃねぇか。ガッチマン芸人じゃねぇよ。ゲーム実況見てる人にしかわからない名前を出すな。

 


 

わかば
さ、続いてムッギマンがオススメする小説は?

ガッチマンみたいに呼ばないでくれる?ウーマンだし。次は砥上裕將の『線は、僕を描く』。

わかば
格好いいタイトル。

この小説も珍しい設定に惹かれたってパターンなんだけど。題材が、

わかば
「水墨画」

なんだよね。

わかば
へぇ~、珍しいね。

大学生の青山くんって男の子がひょんなことから、

わかば
湖山先生

という水墨画家の先生の元に弟子入りすることになって。

わかば
水墨画を通して成長していくんだねぇ~、なるほどなぁ。

ちょっと待って。なんで内容そんな知ってるわけ?

わかば
え、当たってたの?すごい偶然~!

そんなことある?まぁいいや。その湖山先生の言葉でね、私とっても好きな言葉があるんです。それが、

わかば
「まじめというのはね、悪くないけれど、少なくとも自然じゃない」

「まじめというのはね、悪くないけれど、少なくとも自然じゃない」

わかば
俺すごくな~い?

さっきからなんなんだよその白々しい演技!

わかば
いやぁ、水墨画のごとくじつに技巧的なボケでしたな。

誰だおまえ。

わかば
湖山先生です☆

いい加減にしろ。

 


 

わかば
というわけでとうとう10冊目。最後のオススメ小説を発表していただきましょう!

最後は澤村伊智の『ファミリーランド』かなぁ。サイン本持ってるんですよこれ。これも短編集なんだけど、これは個々の短編っていうより全体的におもしろかった。なんていうんだろ、全体的に「家族」にまつわる近未来SF日常小説なのね。

わかば
ドラえもん×クレヨンしんちゃんみたいな感じか。

あっ、急に喩えが的確。

わかば
言ってみたもののいまいちピンとこないな。たとえばどんな話が載ってるの?

ん~、たとえば私が一番印象に残ってるのは「翼の折れた金魚」って短編で。

わかば
解説どうぞ。

ベースとして、まずもう日本では模範的な子供を産むために子作りの段階で薬を飲むことが常識になってるのね。

わかば
ええ~。

で、薬を服用してると、薬の作用で生まれてくる子供はみんな金髪・碧眼になるのね。裏を返せば、親がちゃんと薬を飲んだかって子供の容姿でバッチリわかっちゃうわけ。それによって学校で子供同士の差別があったりとか、先生たちも偏見を持ってたり。主人公はその偏見持った教師のほうなんだけど、そうやって、薬で子供を変化させて産むことは善か悪か?みたいなことを問いかけてくるわけ。

わかば
さすがにスーパーサイヤ人だらけでスーパーサイヤ人があたりまえって社会はね、俺もよくないと思う。

あ、すみません金髪碧眼ってサイヤ人って意味じゃないんですよ。

わかば
アイデンティティーの田島知ってる?野沢昌子って悟空の声優のモノマネする人。あの人さ、適当に描いた線から悟空の絵描けるんですよ。すごいよね。まさに『線は、悟空を描く』。

今『ファミリーランド』の話してるんだわ。

 


 

わかば
あー有意義な時間だった。

どこが有意義だよ。芸人のオールスター感謝祭だったじゃねーか。

わかば
それではここで問題です。テテン!あなたが2019年に読んだ小説の中で一番おもしろかった小説のタイトルは何でしょう?レディーゴー!てっ↑てっ↓てっ↑てっ↓

あー、書けばいいのね?わかった。んー……よし!これだ!

わかば
アンサーチェック。

『ファミリーランド』。

わかば
正解はこちら!テーテーテン!山田ルイ53世が書いた『一発屋芸人列伝』でした!

芸人の本じゃねーか。いい加減にしろ。

わかば
どうも、ありがとうございましたー。

 

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。