本当にね、今さらなんですけれども。2019年に読んだ小説の総括してなくね?と、このあいだMilanoteにつくってあった「おもしろかった小説2019」というボードを見て思いだしました。ので、例にもよって相方・わかばを召喚します。契約のもと麦が命じる、封印解除レリーズ

 

 

 

漫才をやろう!

わかば
今回はですね。

はい。

わかば
毎回ね、おもしろかった小説をまとめて“個人的に一番おもしろい小説”を作っていたわけですけども。ちょっとマンネリかなと思いまして。今回は2019年に読んだおもしろかった小説の設定で漫才ネタをつくってみようかなと。

(拍手)

わかば
じゃあ俺がツッコミでいこうか。

えっ、できるんですかツッコミ。

わかば
なん、……でやねーーーん!!

やめちまえツッコミなんか。

わかば
じゃあやむをえず俺がボケね。いいよ。Mugitterさんは、

Mugitterさんって誰。

わかば
Mugitterさんは、「おもしろかった小説10冊、1冊1冊挙げていってもいいですか?」みたいな。で、俺が「ふんふん」って聞きながら小ボケをかましていく感じで10冊やっていって、途中伏線も散りばめつつ、最後どっかーん笑いとって「もうええわ!」っていう方向性でどう?

はいはい、紹介する体でね。

わかば
貴殿に紹介してしんぜよう、みたいな。

なにその神みたいなキャラ。

わかば
あい、わかったぁ。それではっ(小鼓)聞いてっ(小鼓)あっしんぜよぉぉぉう!

え、私たちって歌舞伎漫才やるの?

わかば
え、どうする?かぶくか傾かないだけ先決めちゃう?

金輪際絶対に傾かないでもらっていいかな。

わかば
絶対かぁ。

じゃあ、私が1冊ずつタイトルと設定を言っていくと。

わかば
それに対して俺が「え?それってこういうこと?」みたいな茶々入れるから、半ギレで返して。

なるほどね、はい。

 

 

 

ネタをつくろう!①『トランクの中に行った双子』編

2019年に読んだおもしろかった小説①
ショーニン・マグワイア『トランクの中に行った双子』(原島文世・訳)

 

『トランクの中に行った双子』は、性格が正反対の双子が主人公なんだけど。

わかば
正反対なのは二卵性双生児だっけ?

あ、逆っていうのはね、この両親別々に男の子と女の子がほしいと思ってたんだよね。

わかば
なるほど。

女の子の双子が生まれてきたときに、一方は女の子らしく、もう一方は男の子っぽく育てられたんだけど、双子本人はじつはそれぞれ真逆の内面性だったと。そしたらあるとき部屋の中でトランクを見つけて、開けてみたら中が階段になってて、下には異世界が広がっていたのね。これ幸いにと、その異世界で2人はそれぞれ夢見てた理想の自分を生きていくんだけど――。

わかば
ザ・たっちしか出てこない。

女の子だってば。

わかば
そう、だから「女の子」って言われてイメージが狂ったしさ、「トランク」って言った瞬間「ザ・たっちだったら入らねぇな」って気になってしょうがなかったわ今。トランクってあれでしょ、旅行カバンでしょ?エスパー伊東じゃないと無理じゃんそれ。

エスパー伊東双子じゃないから。

わかば
まぁでもボーイッシュな……内面は女の子だけどボーイッシュな、かずや

なんで片方女の子らしく育てられてるの?

わかば
そんなことなかったよね、あの2人ってね。

どっちもゴリゴリにオスのビジュアルなんですけど。

わかば
まぁ、その2人が異世界に行くと。

ヴァンパイアの王が国を治めている異世界にね。

わかば
ヴァンパイアの配役はどうする?明石家さんまとかでいい?

強調される歯の位置、違くない?

わかば
そっか。

ヴァンパイアって八重歯だから。強調されるの。前歯じゃなくて。

わかば
間違えてたわ。

え、じゃあやっぱりエスパー伊東がトランクの中に行って、ザ・たっちが後につづく頃にはもうエスパー伊東の治める国ができていたってこと?

わかば
すごい世界観。

そういう世界観にしよう。……「しよう」ってなに?

わかば
でも実写化映画ってそのくらい脚色されてるよね。

めちゃくちゃにね。

わかば
だいたいそうなる。これはそういう話だね、つまりはね。

 

 

 

ネタをつくろう!②『半分世界』編

2019年に読んだおもしろかった小説②
石川宗生『半分世界』

 

次は『半分世界』っていう小説なんだけど、これ短編集だから一応、表題作だけ設定ピックアップしてきた。

わかば
うん。

ある日突然、ごくごく一般の家庭がまっぷたつになって、巨大なシルバニアファミリーの家みたいな状態になるのね。で、家の中の人たちは家が半分になってることは知ってるんだけど、それでもなお生活をつづけてるの、別段パニックも起こさず。それを奇妙に思ったまわりの人たちはだんだんその家を観察するようになる。

わかば
ニンゲン観察バラエティみたいな。

そう、モニタリングみたいになるわけよ。家の向かいにマンションが建ってたりするんだけど、そのマンションの各部屋が――あ、藤原さん家がまっぷたつになってるんだけどね、藤原さん家を観察するために、各部屋が野次馬でいっぱいになってて。

わかば
撮り鉄ならぬ「撮り藤原」みたいな。

そう!作中では「フジワラー」って呼ばれてた。

わかば
(笑)

フジワラーがね、向かいのマンションから日がな一日藤原家を観察してるっていう、そういう話。

わかば
顔がデカい人だ。

はい?

わかば
顔がデカい人とギャグいっぱい作る人。

FUJIWARAね、それは。藤原じゃなくて。

わかば
FUJIWARAのライブってことだよね?

そうね、そう考えるとライブだね。

わかば
なんばグランド花月

家が?

わかば
なんばグランド花月がある日突然まっぷたつになって、近所の人が「やったー!無料だー!完全無料だー!」

なんばグランド花月に住んでたの?FUJIWARAって。

わかば
違うのかね。

違うだろ。まぁつまり、タダ見してるお笑い好きの人たちの構図なのね。……え、この小説なにを啓蒙してるの?

わかば
ちゃんとお笑い芸人たちが毎回板に立ってね、新鮮な漫才をしてくれてるんだから、違法アップロードされたのなんか見てないでちゃんと劇場に足を運んでね、金を払って、生の、“今”のお笑いを見てほしい。ぜひ。

そういう熱いお笑い批判だったってこと?

わかば
そうだったんだ!?

そうだったんだ!?

 

 

 

ネタをつくろう!③『夢みる葦笛』編

2019年に読んだおもしろかった小説③
上田早夕里『夢みる葦笛』

 

『夢みる葦笛』も短編集だから表題作の設定を持ってきたんだけど、これはなんかね、頭イソギンチャクの人型みたいな。

わかば
ピアノ売ってちょうだ~い。

それそれ。そのタケモトピアノのCMのダンサーみたいな生命体がある日町にあらわれるようになって、それが発する音?みたいなものがきれいで、人々を魅了する話なんだけど。

わかば
8.6秒バズーカーを彷彿とさせるね。

どゆこと?

わかば
8.6秒バズーカーのブームが来たときみんなさ、あのリズムを真似したでしょ?

うん……?

わかば
チョトマテ チョトマテ オニイサ~ン!

8.6秒バズーカーって言って出てくんのそっちのフレーズなんだね。普通「ラッスンゴレライ」のほうなんだけどね。

わかば
あっ、そっか(笑)

普通そっち想像すると思うんだけどね。

わかば
いいボケとツッコミができた。

あと、頭イソギンチャクの人型のビジュアルはやっぱ完全にタケモトピアノだったよね。

わかば
みんなまあるくタケモトピアノ~♪

それそれ。

わかば
タケモ~ト~ピアノ~を~売っ……買ってませんでした~♪ チッキショー!ってことでね。

は?

わかば
あーーーいとぅいまてーーーん!

芸人の引き出しがすごいね、さっきからね。

わかば
リズムネタ祭りしてみた。

まぁ、そういう話ですわ。

わかば
投げやり。

笑い疲れた。

わかば
(笑)

 

 

 

ネタをつくろう!④『偶然仕掛け人』編

2019年に読んだおもしろかった小説④
ヨアブ・ブルーム『偶然仕掛け人』(高里ひろ・訳)

 

『偶然仕掛け人』は日常系不思議な話で、この現代社会に普通に、秘密裏にではあるんだけど、いろんな人の遭遇する偶然を陰で仕掛けてる「偶然仕掛け人」って仕事が存在する世界なのね。

わかば
「必殺仕事人」の対義語みたい。

そうそう。

わかば
えっ、そうなのっ!?

あ、違うわ。

わかば
真逆だとなんか、依頼されても人殺さない人みたいになっちゃうけど!?

必殺仕事人みたいだよね、って言いたかっただけ。響きが。

わかば
響きがね。

その、「偶然仕掛け人」になりたい3人の若者の、なれるのか?みたいな成長群像劇。

わかば
なるほどね。

たとえば、AさんとBさんが本屋に入って偶然同じ本を手にとって「あ!」みたいなやつ。あの“偶然”が、AさんとBさんは偶然だと思ってるんだけど、本当はまずAさんとBさんが同じ本屋に行くように仕向けて、で、2人が同じ本を手にとるように他にもいろんな裏工作をしてたみたいな。っていうのをやってるのが「偶然仕掛け人」。

わかば
放送作家みたいなもんね。

さっきからすごいテレビにしてくるんだよなぁ、話を。

わかば
「このテレビ番組よくできてんなぁ。こいつもよくしゃべるし、なんかめっちゃうまいな」って思ってたら、それって全部放送作家が台本で書いてる。

偶然仕掛け人って放送作家だったのか

わかば
なんかあれね、偏った業界の本ばっかり読んでらっしゃる。

逆にだよね。逆によくこんな業界の引き出しを持ってらっしゃる。業界人かな?

 

 

 

ネタをつくろう!⑤『私たち異者は』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑤
スティーブン・ミルハウザー『私たち異者は』(柴田元幸・訳)

 

次、『私たち異者は』も海外の短編小説集の表題作だけど、この「異者」っていうのは、まぁ、幽霊のことなのね端的に言うと。

わかば
doctorのほうじゃなくて。

そう、異なる者と書いて「異者」。で、えーと、主人公の男性がある日突然、気がついたらベッドの上で寝てる自分を見てて。「あれ、これ俺じゃねーか?」って。どうやら自分が生きてる人には見えない幽霊になってた、と。

わかば
え~、ここでまたザ・たっち出します?

あっ、幽……!(爆笑)

わかば
ほんとに~?

幽体離脱ってこと?(爆笑)

わかば
ゆーたいりだつー!」はたしかに代表的なネタではあるけどね。

ザ・たっちのネタだったの?この話。

わかば
すごいね、〈ザ・たっち〉シリーズ去年2冊も読んでんの?

〈ザ・たっち〉シリーズってなに???

わかば
前作『トランクの中に行った双子 ~ザ・たっち VS エスパー伊東~』

〈ザ・たっち〉シリーズじゃないのよ別に。びっくりした。そんなとこでつながってくると思わなかったよ。

わかば
序盤の伏線をここで拾ってくるとは玄人だよね。

 

 

 

ネタをつくろう!⑥『人ノ町』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑥
詠坂雄二『人ノ町』

 

『人ノ町』って小説はまぁ、これも短編小説だけど、主人公が旅人でいろんな町を旅していて。それぞれの町で起きた話を1つずつ短編にしてるから、連作短編集みたいなもんですわ。

わかば
いろんな町に行って、で、その町で出会った人とかと交流しながら。

そうそう。

わかば
ごはん食べたり。

ん?

わかば
町ブラ系ってことでよろしい?最近よくある、お昼2時から4時くらいにやってる。

よろしくないです。

わかば
「はい!今日のロケスポットは!」

違うのよ、犬の町とか――。

わかば
「犬の町!」

石の町とか北の町とかタイトルがいろいろあって、あの、飯食ってるシーンはそんなになかったと思う。

わかば
あれか、どっちかっていうとゲストの思い入れのある場所とかに行って……?

違う、「ウチくる!?」じゃない。

わかば
最後にこう、ゲストも覚えてんだか覚えてないんだかわからない旧友とか出てきて手紙を読むみたいな。

「ウチくる!?」じゃないのよ。

わかば
あ、御朱印?

え?

わかば
御朱印?

なんか「ひらめいちゃった☆」みたいな顔で言ってるけど、偶然立ちよった神社仏閣で御朱印集めたりしないのよ。

わかば
主人公澤部じゃないの?

澤部じゃないけど、あの番組タイトルなんだっけね?

わかば
東海道中膝栗毛?

栗頭みたいにはなってるけど、たしかに。

 

 

 

ネタをつくろう!⑦『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑦
川添枯美『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』

 

『貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書』は、主人公が元作家なんだけど、事情があって小説書けなくなっちゃって。でもバイトしないと生活できないから喫茶店でバイトすることにしたんだけど、その喫茶店っていうのが本の貸し出しもしてる〈貸し本喫茶〉だったのね。〈貸し本喫茶〉っていうのがいい設定だなーと思って。

わかば
やりたくなった?

うん。

わかば
ちょっとやってみようか。店員やって。じゃあ俺店員やるから。……あ、俺も店員やるわ(笑)

客来ねーじゃん。

わかば
「いやぁ~、客来ないねぇ」

「本でも読みますか?」

わかば
「そうだね」

「…………」

わかば
どう?できた?

「できた?」じゃねーわ。

わかば
やりたかったんじゃないの?

閑古鳥鳴いてて辞めたくなったわ。

わかば
(笑)

 

 

 

ネタをつくろう!⑧『女學生奇譚』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑧
川瀬七緒『女學生奇譚』

 

『女學生奇譚』の主人公はフリーライターなんだけど、恐怖を感じることができないのね。遺伝子的にというか、体質的に?だから作中こわいことが起きても別に「こわい」と思ってないのね。冒頭で、読んだら呪われる!みたいな曰くつきの本を預かるんだけど、全然普通に読むのね。ジャンルとしてはホラーとかミステリーだけど、主人公のそこだけおもしろかったです。

わかば
主人公が強すぎて全然こわくないホラゲ実況だね。

そうだね。

わかば
「どうもガッチマンです」

!?

わかば
「今日は、全然こわくない曰くつきの本を読んでみたいと思います」

ガッチマンだったんだ、主人公。

わかば
「……こわいですね(棒)」

ガッチマンは、どうなの?通じるの?みんなに。

わかば
「ゲーム実況好きにしかわからねぇじゃねーか!」

あ、って言えばいいのね。なるほど。

わかば
書籍化してたんだねぇ、ガッチマン。

ガッチマンの話じゃないから。

わかば
男なのに「女學生」とはこれいかに。

聞けよ。

 

 

 

ネタをつくろう!⑨『線は、僕を描く』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑨
砥上裕將『線は、僕を描く』

 

『線は、僕を描く』は、あるとき主人公が会場設営のバイトに行って、それが水墨画の展覧会だったんだけど、そこで水墨画を描いてる人と実際に会って。で、「せっかく設営してくれたんだから帰り見てってよー」って言われて見てまわるんだけど、そのときにたまたま水墨画界の大御所みたいな先生と偶然出会って、ひょんなことから主人公も弟子入りして水墨画を描くことになるのね。で、先生の教えに従って描いてるうちに人としても成長していく……みたいな。

わかば
なるほどね。

「水墨画」ってのをテーマにしてるってところが珍しいかなと。

わかば
このへんでなんか技巧的なボケ入れようか。

技巧的なボケとは。

わかば
あらすじを説明するときに、俺もハモる

ああ、それで「なんで知ってるんだよ!」と。

わかば
あらすじ説明したあと、この小説の名ゼリフ的なものを引用して「それ〇〇が言った名言だろ!」「絶対読んでんじゃんおまえ!」みたいな。

私がツッコむのね。

わかば
これもだって技巧的な小説でしょ?

技巧的……まぁ、水墨画の話だからね。

わかば
こう、唸らせられるでしょ?

誰を?

わかば
素人漫才評論家。

誰だよ。

わかば
素人漫才評論家に舌鼓打たせられるでしょ。

暇だなそいつ。あと「舌鼓」って食ってんじゃねーか。

わかば
楊枝でシーシーするでしょこれで。ね?

 

 

 

ネタをつくろう!⑩『ファミリーランド』編

2019年に読んだおもしろかった小説⑩
澤村伊智『ファミリーランド』

 

『ファミリーランド』は、これも短編集だけど表題作はなくて、個々の短編っていうより全体がおもしろかったから全部に共通する設定として抜き出したんだけど、「家族にまつわる近未来SF小説」なのね。

わかば
ドラえもん×クレヨンしんちゃんみたいな。

上手い例えだね、そう!

わかば
ボケにならなかった。

そうね。

わかば
…………。

終わっちゃった。

わかば
(笑)

まぁそうだね、ドラえもん×クレしん……よりはちょっと不思議な、奇妙な話みたいな。

わかば
「おいボーちゃん!野球しようぜ!」

それなにが不思議で奇妙な話なの?

わかば
(笑)

野球しにきただけじゃん、誰かが。

わかば
ジャイアンの真似できなかったわ俺。たとえばどんな話があるの?

具体例を言うと、「翼の折れた金魚」は、近未来の日本で薬を飲んで子供を産まなくちゃいけなくて。その薬っていうのが、端的にいうと品行方正な子供がちゃんと生まれてくる薬なのね。見た目は金髪・碧眼で統一されてるらしいの、薬の副作用で。薬を飲まない場合私たちみたいな普通の人間が生まれてくるんだけど、だから、逆に一発でわかっちゃうのよ「薬飲まずに子供産んだんだー」って。それによって子供がいじめられちゃう。薬を飲んで金髪・碧眼を産むことがスタンダードだから。じゃあ結局、薬で調整されて生まれた子供と単純に夫婦が愛しあった結果生まれてきた普通の子供どっちが未来にとっていいんだろうね、みたいな話。

わかば
難しいよねぇそれは。後半になってくるとサイヤ人じゃないと勝てない敵しかいないっていう、ね。

は?

わかば
たしかにスーパーサイヤ人はすごいよ?でもインフレしすぎてスーパーサイヤ人しかいなくなっちゃってさ、ここにクリリンが入ってきたらさ、そりゃ勝てないよ、セルにだってブーにだって。

金髪・碧眼のことスーパーサイヤ人だと思ってるの?もしかして。

わかば
ねぇ?

「ねぇ?」じゃなくて。

わかば
ただ戦闘民族のスーパーサイヤ人が品行方正みたいに書かれてるのはちょっとこう……そこは解釈の違いなのかな?

聞けよ。

わかば
え、これドラゴンボールの話じゃないの?

ドラゴンボールって家族にまつわる近未来SFだったの?

わかば
(笑)

嘘でしょ。

わかば
カプセルコーポレーションは、……あれ製薬会社ではない?

いやドラゴンボール知らんし。ドラえもん×クレヨンしんちゃん×ドラゴンボールの小説ってなに?

わかば
少年の夢詰めあわせだね。

金とか銀のエンジェル集めてもらうチョコボールの缶ぐらい夢詰まってる。

わかば
ひとつなぎの財宝ぐらいね。

なに?

わかば
ONE PIECE

ありったけの夢。

わかば
ありったけの夢をね。

もち……弄び?だっけ?

 

 

 

オチを決めよう!

わかば
なにでオトすかなぁ、全体。

「おめーめちゃくちゃテレビっ子じゃねぇか!」ってことよねぇ。

わかば
うん。

大ボケとしてはあれじゃない?こんだけテレビネタ出してきたくせにテレビっ子の常識を一切知らない、とか。「テレビの引き出し多くない?」って話をまずして。

わかば
でも一番好きなテレビ番組は「なんでも鑑定団」。

それは玄人が最後にたどりつく番組だから。

わかば
そっか。まぁ、テレビ関係でつなげられてはいるかな。だから落とすとしたらそういう関係で落とすのがいいんだよね。

オールスター感謝祭か!

わかば
…………。

あっ、これ本当にオールスター感謝祭のこと知らねー人の沈黙だ!

わかば
あれ、マラソンする番組。

あってるけど間違ってる。オールスター感謝祭ってクイズ出すから、「ではここで問題です。島田紳助に代わり、オールスター感謝祭で現在司会を務めているタレントは誰でしょう?お答えください」「…………」「知らないんかい!」って流れはどう?

わかば
あー、なるほど。いいね。

今の反応見るとちょっと弱かったかな。

わかば
いや、ここで小説に話を戻さなくていいのかっていう。

たしかに。

わかば
オールスター感謝祭風に小説の問題を俺が出して終わってもいいんだよなぁ。

わかった!「ではここで問題です。あなたが2019年に読んだ小説の中で一番おもしろかった小説はなんでしょう?」って言って、で、私が(答えを)書いてるふりして、この10冊にかすりもしない小説を出すっていう。で、「この10冊関係なかったじゃねーか!」みたいな感じで終わる。

わかば
いいね。でもあれだ、そこだけボケとツッコミが逆転しちゃうから、そこで普通に答えちゃって、「残念!正解は『一発屋芸人列伝』でした!」って山田ルイ53世が出してる本の名前を俺が言う

「だからそれ芸人じゃねーか!」で終わるってこと?

わかば
そうね、芸人縛りでいこうか。さっきのドラゴンボールの話アイデンティティの田島につなぐわ、じゃあ。

で、1つツッコミがあって終わり、みたいな。

わかば
「もぉええわ」

なんで和牛・川西の上品な「もぉええわ」したの?

わかば
まぁ、あとはそれぞれのネタを詰めればって感じかね。

じゃあ、これでよしとします?

わかば
おし。

 

 

 

完成しました。

というわけで、約1時間話しあって完成した漫才がこちらです。

 

★テキストで読む場合はこちらから。

★ネタづくりの様子もこちらから動画音声で聞くことができます。

 

 

結論:

それっぽいのができた。

 

又吉直樹や光浦靖子、カズレーザーなど「読書芸人」はメディアでもよく見かけますが、ネタそのものに読書をかけあわせている芸人はまだいないんじゃないでしょうか。新しい分野を開拓したような気がします。そういえばM-1グランプリも毎年12月開催ですし、読書家のみなさまにおかれましては、2020年に読んだ本の総括はぜひ漫才風にやってみてはいかがでしょうか?そのままM-1グランプリで優勝するのもまた一興。

 

こちらからは以上です。もぉええわ。

 

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。