医療
  • 奇跡とはくりかえされる日常、 現状維持の心理をいう -『7.5グラムの奇跡』感想

    前口径約24ミリ、重量約7.5グラム、容積約6.5ミリリットルの中に宿る光は、この世界の他のどんな場所に現れる光より眩しく思えた。 (P299/L1~2より引用) 2ヶ月ほど前、小説を書いて久しぶりに壁にぶちあたりました。 主人公の〈僕〉はじつはあまり耳が聴こえないことを周囲に隠しているのだけど、私には、耳が聴こえないという経験がない。周囲に耳が聴こえない人も...
  • 檻は鳥から自由を奪い、命を守る -『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』感想

    『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ』以降しばらく空いちゃったんですけど、久しぶりに天久鷹央シリーズの感想です。 シリーズ12作目、うち〈事件カルテ〉シリーズとしては7作目となる長編小説。語り手である“僕”こと小鳥遊優に加え研修医の鴻ノ池舞を正式に統括診断部のメンバーに迎え、おなじみ天才医師・天久鷹央が15年以上の時を経てなおまったく容姿の変わらない少女・楯石希津奈の不老と復活の謎に挑...

    2021年9月14日

  • 人体自然発火現象は本当に起こる -『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ』感想【再読】

    知念実希人『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ』を読みました。再読です。シリーズ最新刊『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』を買ったので雰囲気思いだすためにというのと、初読のときは感想が書けずにいたので。一度読んだはずなのに、いやぁ、二転三転する事件から目が離せない。エンタメミステリーとしてよく練られた優秀な1冊だと思います。 初読の感想はこちら: ...

    2019年9月19日

  • 怪物に優しい子守歌を -『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』感想

    知念実希人『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』を読了。甦るってどういうこと?って最初はわくわくしながら読んでいたはずなのに、物語の着地点が存外に寂しいところだったので絶賛放心中です。まさか「わくわくしながら読んでいた」ことをこんなに考えさせられるとは。たまたまサイン本を手に入れることができたのですがシリーズの中でも大切にしたい1冊になったのでよかった。うれしい。 ...

    2017年11月24日

  • 『天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト』

    去年の10月末、 知人の右眼が真っ赤になるというとんでもない現場に遭遇しました。 当時知人はしょっちゅうものもらいになっていたので おそらく原因はものもらいだったのだと思うのですが、 いやはや当の本人は痛みはないと言っていましたけれど 見ている側の精神的ダメージはそれは大きいものでした。 だって本来は白くあるべきところが真っ赤なんですもん。 ...

    2017年4月12日

  • 『仮面病棟』(知念実希人 著)

    知念実希人氏『仮面病棟』を読了しました。 昨年は苦手なジャンルにも 積極的に挑戦するようになった年だったので、 今年はもっと読める領域を広げていこう!と、 既読の作家の他作品にも手を伸ばしてみました。 ピシッとした文体にゴリゴリの医療ミステリー。 こういうの海堂尊氏のバチスタシリーズ以来か? なつかしいな、あれ、読んだの...
  • 『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』(知念実希人 著)

    幸運なことに、 私はこれまでの人生で一度も 手術というものをしたことがありません。 中学生のときに一度、 膝の裏に水が溜まったとかでコブができたことがあり、 水を抜くのに注射を3本ほど刺されたことはあります。 うつぶせに寝て打ったので直接は見ていないし、 麻酔もしたので痛くはなかったはずなのですが、 「やだ!」「怖い!」と号泣...

    2016年11月15日

  • 『天久鷹央の推理カルテⅣ 悲恋のシンドローム』(知念実希人 著)

    たまに、 絶妙なタイミングで本に出会うときがあります。 先日人とおしゃべりをしているときに 話題にした場所が出てくる本だったり。 先日テレビで見かけたニュースと同じ 事件や出来事を題材にした本だったり。 今回もそんな絶妙なタイミングで出会いました。 知念実希人氏『天久鷹央の推理カルテⅣ』読了です。 (※サブタイトル「悲恋のシ...

    2016年2月18日

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。