- 料理は、小学生のときに覚えた。 母がパートで夕方まで帰ってこないため、偏食の私が給食を残しておなかを空かせて帰ると、自分でなにかつくらなくてはならない。フライパンでハーフベーコンを4枚焼き、食パンに#の形にのせたらとろけるチーズも上にのせ、電子レンジで1分ほど。トースターでカリカリに焼くよりもこのふにゃふにゃ感が好きだった。名前はない。この名無しの創作料理を帰宅後はいつも一人で食べて...
2021年4月21日
- 第一集の感想はこちら: 第二集とはいえ小説の根幹にある部分は前作から変わらないのでとくに細かな感想はないのですが、本作を読んだことで腑に落ちたところがあったのでこれは書いておこうかなと。 まず、私は三歩に滑舌をプラスして社会性・社交性をマイナスしたような結果ほぼ下位互換なので、三歩がいて世界が成立している、というさまは妙な言いかただけれどすごく安心するんですよね...
2021年4月8日
- 千早さんの小説は高校生だか大学生だかの時分に『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』を読んで以来だったんですけど、第一印象と変わらない、幻想的で蠱惑的な美しい文章でした。拠点となる洋館には主人公・一香以外の女性はおらず、調香師の朔、探偵の新城、庭を管理する源さんとまわりは男性が固めますが安易にハーレムとか唯一の女性である一香をチヤホヤしないそれぞれの距離感が絶妙で良いですね。 ...
2021年2月3日
- 20字以内で説明できる小説はいい小説なのだと聞いたことがある、と書かれているので、挑戦してみる。 好きなものをとても大切にしている人の話。 まさか本当に20字(ぴったり!)で収まるとは思わなかった。すげ。まぁ、これから感想に100倍ぐらいの文字数使うんですけどね。 筆名が「佐々木麦」なものだから、主にタイトル的な意味でずーっと気になっていて...
2020年5月21日
- あなたさまは、川瀬七緒の『女學生奇譚』という小説をご存知でしょうか。それは曰くつきの古本の謎を追うミステリーでありながら、昭和初期の女学生たちをめぐるホラーでもあり、最後には爽やかさすら感じる主人公・八坂駿のヒューマンドラマでもありうるという、とにかく一言では形容しがたい1冊なのでございます。ただひとつ胸を張って言えるのは、この本がじつに良質であったということ。麦はあなたさまとぜひこの恍惚...
2019年10月11日
- 遠藤彩見『キッチン・ブルー』を読みました。前回読んだ『広告狂想曲24時間』などを購入したときに一緒に書店へ行った知人に頼んで1冊選んでもらったもの。なるほど、ファッション雑誌を読んでいるタイプのOLが手にとりそうな表紙なのでこれはたしかに私だったら素通りしていた。偏見がすごい。「ごはん小説」というワードに惹かれて軽い気持ちで読みはじめたけど、思っていた以上にほっこりできて良作でした。 ...
2018年7月27日
- 伊吹有喜『オムライス日和 BAR追分』を読了。長いこと続編買う買う詐欺をしていましたがようやく実際に買ってくることができました。相変わらず肩の力を抜いて読めるボリューム。そして私のような絶望的コミュ障でもバーに行きたくなるBAR追分の雰囲気のよさ!加えて、今作はタイトルに「オムライス」とあるとおりごはんの描写が素晴らしく、今度の外食はぜひともカウンター席で食べたい、と思わせてくれる...
2018年3月7日
- 早急に『肉小説集』を再読して感想記事を書こう。なにこのぐちゃぐちゃ体裁。もんじゃ焼きか。2015年に私に読まれた小説たちかわいそうすぎる。月1ぐらいの間隔で再読して記事を書きなおす救済企画をやるべき。 ――2017年12月14日投稿「クセがない鶏肉は退屈かい? -『鶏小説集』感想」より というわけで2015年投稿記事救済企画第1弾。坂木司『肉小説集』読了です。前...
2017年12月20日
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