• 私たちにはきっと「さよなら」の期間が必要だった -『おはようの神様』感想

    鈴森丹子『おはようの神様』を読みました。前作『さよならの神様』のタイトルに胸さわぎを覚えてからおよそ1年。大好きな〈ポコ侍〉シリーズが帰ってきました。待望の新作はやっぱり萌えたり笑ったり泣いたり、ときめきがとまらない1冊でした。泣いているとき、主に電車の中だったんですけどね。 おかえりの奇跡 1年前、『さよならの神様』というタイトル、そしてあのラストシーンを読ん...
  • 佐々木麦とは何者なのか

    高校生のときにね、性格が正反対の男子高校生コンビがおたがいに「俺がいなくてもあいつ楽しそうじゃん……」と拗ねる原稿用紙約100枚のキツすぎる小説を恥ずかしげもなく出版社に応募した私なので。慣れてるわけですよ。自分の文章が賞に落選するのなんて。全然、CHA-LA-HEAD-CHA-LA。 だけどこのあいだBooks&Appsの「私のブログ大賞」の結果発表見たときの衝撃ったらさー、もう、...

    2019年7月19日

  • 言葉にできない 記事にできなかった小説の感想まとめ【2019年上半期】

    2019年上半期も確実に好きなんだけど具体的にどこが好きなのか言葉にできなかった小説が生まれてしまったので、ふたたび特集を組みました。せめてこれだけは言いたいというGoodなポイントを中心に書き溜めましたので今年も小田和正「言葉にできない」を脳内再生しながらよろしくおねがいします。はじめます。 2018年版はこちら: 米澤穂信『本と鍵の季節』...

    2019年7月2日

  • 最近応募した賞と結果まとめ

    なんのためにTwitterをやっているのかわからないほどうっかり八兵衛な話ですが、今年の2月から今月にかけて小説やらブログ記事やらいろんな賞に挑戦したよ!という報告をするのをすっかり忘れていました。忘れているあいだに結果も出そろったのでドドンとまとめてお知らせします。お察しのとおりです。 第2回文芸社文庫NEO小説大賞 去年の9月から12月にかけて3ヶ月間、〈お...

    2019年6月25日

  • 最近読んでおもしろかったビジネス書・学術書・専門書など10選+α

    本記事は2019年5月にWebマガジン「Books&Apps」が開催した第2回「私のブログ」大賞に応募したものです。文字数に制限があったため応募の際は内容を削り「6選+α」としましたが、落選しましたので10選の完全版をここで供養します。興味があったらどうぞおつきあいください。ちょっとだけ加筆修正もしたけど基本的に本文は執筆時(同年4月頃)のままです。 ...

    2019年6月25日

  • 解明は解決にはならない、だけど -『家庭教師は知っている』感想

    青柳碧人『家庭教師は知っている』を読みました。学園ミステリーにとどまらず教師や生徒を主人公に展開する小説は数あれど、本書は家庭教師を主軸にした一風変わった「家庭訪問ミステリー」。家庭とは幸福な絆なのか、それとも、不幸の檻なのか。サクサク読めるのに考えさせられる良書でした。 原田は、首都圏で《家庭教師のシーザー》を運営する会社で働いている...
  • 嫌いだ、泣きたいほどに -『あなたの右手は蜂蜜の香り』感想

    片岡翔『あなたの右手は蜂蜜の香り』を読みました。私は普段「好きだ!」と思った小説しか挙げないし、感想にマイナスな表現は極力使わないようにしているのですが、……悩んだけど、本書にとってこの言葉を使うことは必要なことだと思うから。だから言います。私はこの小説、嫌い。 小説としては粗削り あたしのせいで動物園に入れられたクマの「あなた」を、必ず救い出す。ど...
  • ただ、今に一途であるということ -『こちらあみ子』感想

    今村夏子『こちらあみ子』を読みました。以前読んだ短編集『あひる』が上手く言葉にできないけれど衝撃的で、著者と作品を理解するにはもっと数を読みこむ必要があるのでは、とデビュー作である「こちらあみ子」を含むこちらの短編集にも手を出した次第です。結論を言ってしまうとますますわからなくなった。で、私はそういうまったくわからない小説が好き。 話題の『あひる』を読む前に ...

    2019年6月6日

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。