考える
  • 像をめぐる崇拝と崩壊 -『チェーン・ピープル』感想

    三崎作品といえば中学生だか高校生だかの頃『となり町戦争』から『廃墟建築士』まで首をかしげながら読んだものですが、10年ぶりに『チェーン・ピープル』を読んだらめちゃくちゃ好きなやつだったので『バスジャック』と『鼓笛隊の襲来』と『廃墟建築士』は絶対に読みなおさなきゃ(使命感)と思いました。 正義の味方 相変わらず、私にとって彼はヒーローであり、戦い続ける...
  • 不完全な葦でありたい -『夢みる葦笛』感想

    上田早夕里『夢みる葦笛』を読みました。文庫裏のあらすじに「「人間とは何か」を問う」とあって良書の予感はしたものの、目次を見たとき「これは挫折するかもしれない」と不安もよぎり。積ん読が尽きた頃にようやくおそるおそる読みはじめたのですが、あのね、最高におもしろかった。それでは本書を読んで考えたこと約1万文字、どうぞ。 人間と世界の本質を問う短編集 ある日...
  • 私たちは残酷で愛おしく、危うい -『トランクの中に行った双子』感想

    ショーニン・マグワイア『トランクの中に行った双子』(原島文世・訳)を読みました。以前読んだ『不思議の国の少女たち』の続編ですが、おなじみジャックとジルを主人公に2人がエリノアのホームに来る前の、ヴァンパイアの世界に行った当時の物語なので前日譚と言ったほうがいいでしょう。現実の世界にありながら非現実の世界によりそった前作に対し、こちらは非現実の世界にありながら現実の世界によりそっていた印象、...
  • 絶望の森を抜けて -『城の王』感想

    スーザン・ヒル『城の王』(幸田敦子・訳)を読みました。読後に思ったこと、考えたこと、感じたこと――そのすべてを言葉にして綴るのは難しく、読み返してみると抽象的で短い文章になってしまったのですが、それでも本書と本書を読んだ私の感想はなにより自分のためにここに残しておきたいと強く思ったので、短くても抽象的でも、ありのままを載せることにしました。読了直後にしたためた感想メモほとんどそのままですが...
  • 私はこれからも考えすぎな文章を書いて生きていく -『会社を綴る人』感想

    朱野帰子『会社を綴る人』を読みました。初読の作家でしたが、作者名どこかで見たことがあるような、と思ったら作者略歴に『マタタビ潔子の猫魂』の文字を見つけて納得。そっか、私がちょうど「ダ・ヴィンチ」(雑誌)を読んでいた時期に連載していた作品だ。あいにく『マタタビ潔子の猫魂』は読んでいないのですが、本書は号泣するほどよかったし、紙屋さん大好き、これから何度も読み返して一生の宝物にしようと思いまし...
  • 世界は誰がつくるのだろう -『わるいうさぎ』感想

    中島さなえ『わるいうさぎ』を読みました。読みやすそうなページ数と動物たちが主人公という点に惹かれたものの、前に読んだ『いちにち8ミリの。』が今やまったく内容を思いだせないほど自分の肌に合わなかったのでどうしたものかと書店をぐるぐるまわって悩んだ末、結局買いました。今度は私にもジャストフィット。読んでよかった! 「童話集」と見せかけて ラボから脱走した...

    2018年11月10日

  • シロクマの投げっぱなしジャーマン -『レプリカたちの夜』感想

    一條二郎『レプリカたちの夜』を読みました。突然ですが、私は子供の頃、父に足首をつかんでそのままブランコのように前後に揺らすかぐわんぐわんぶんまわしてもらうのがめちゃくちゃ楽しくて好きでした。公園にもそういうぶんまわし遊具あったけど今は撤去されちゃったなぁ。鳥かごみたいなやつ。どうしてそんな話になるかというとそういう小説だったからです。投げっぱなしジャーマン。話を聞いた知人からブログタイトル...
  • 言葉の時間はもうおしまい -『僕には世界がふたつある』感想

    ニール・シャスタマン『僕には世界がふたつある』(金原瑞人 , 西田佳子 訳)を読了。一度書店で見かけたとき、幻想的な表紙に惹かれたものの、自分には抱えきれない作品なんじゃないか、相当な覚悟がなければ読めないんじゃないか、と不安になって買わずに帰ってしまったんだけど、たまたま趣味でアルビレオのサイトを見ていたとき作品群の中に本著表紙があったのをきっかけに読むことを決めました。結果、と...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。