• 毎年、大型連休は必ず誰かを世界を救ってる ~今年は救うぇなかった・エニックス~

    2021年5月の大型連休はやっぱりほとんどの時間ゲームをしていた。ボードゲーム、オンラインのリアル脱出ゲーム、PS4。 ボードゲームは『トゥー・ルームス』という作品がおもしろかった。 2人のプレイヤーが協力しながら吸血鬼・マントを負傷させ、ニーナを助けださなければいけない。外箱まで使う(!)無駄のないシンプルなルールながら「目を閉じる」という行為がいいエ...

    2021年5月14日

  • 社会なんて人なんて -『料理なんて愛なんて』感想

    料理は、小学生のときに覚えた。 母がパートで夕方まで帰ってこないため、偏食の私が給食を残しておなかを空かせて帰ると、自分でなにかつくらなくてはならない。フライパンでハーフベーコンを4枚焼き、食パンに#の形にのせたらとろけるチーズも上にのせ、電子レンジで1分ほど。トースターでカリカリに焼くよりもこのふにゃふにゃ感が好きだった。名前はない。この名無しの創作料理を帰宅後はいつも一人で食べて...
  • 佐々木麦は君が好き、今日も -『麦本三歩の好きなもの 第二集』感想

    第一集の感想はこちら: 第二集とはいえ小説の根幹にある部分は前作から変わらないのでとくに細かな感想はないのですが、本作を読んだことで腑に落ちたところがあったのでこれは書いておこうかなと。 まず、私は三歩に滑舌をプラスして社会性・社交性をマイナスしたような結果ほぼ下位互換なので、三歩がいて世界が成立している、というさまは妙な言いかただけれどすごく安心するんですよね...
  • あなたの想いの額縁は、私がつくる -『額装師の祈り 奥野夏樹のデザインノート』感想

    冒頭からいきなりゲームの話なんですが、デレステの鷺沢文香ちゃんのソロ楽曲に「銀河図書館」というものがあるんですよ。 https://www.youtube.com/watch?v=AEmfBH2qj70 でね、その「銀河図書館」の歌詞について考察を書いた人がいるんですけど、それがめちゃくちゃ良いわけです。 「銀河図書館」の歌詞には「四角い空...
  • 創作についてのいくつかの雑文

    物語としてあまりに救いようがなく文字表現という根本的な観点からもほとんど理解できない小説と出会う。内容云々より、おそらくこれが作品として世に出たことの意味を考えなきゃいけない本なのだと思った。 今じゃすっかり共感至上主義みたいな世界になってしまったけど、自分が共感できるものだけを選んで相手から共感ばかり求めるような生きかたは、じつは得られる幸福感と得るための苦労がまったく釣りあってい...

    2021年3月10日

  • 月のケーキは甘くない!-『月のケーキ』感想

    奇妙な味わいという宣伝文句につられて手にとりましたが、いやぁ、なんの因果か直近で篠田知和基『世界植物神話』なんぞ読んでいたのでハシバミや金曜日がなにを意味するかとか、思いのほかわかるわかる。タイトルは「月のケーキ」だけど含意たっぷりでなかなか甘くなかった。感想ってかもうほとんど考察です。あたりまえのようにネタバレします。 月のケーキ 月の満ち欠けは周期的なものなので...
  • 鼻は、人間の奥底につながる無防備な穴だ -『透明な夜の香り』感想

    千早さんの小説は高校生だか大学生だかの時分に『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』を読んで以来だったんですけど、第一印象と変わらない、幻想的で蠱惑的な美しい文章でした。拠点となる洋館には主人公・一香以外の女性はおらず、調香師の朔、探偵の新城、庭を管理する源さんとまわりは男性が固めますが安易にハーレムとか唯一の女性である一香をチヤホヤしないそれぞれの距離感が絶妙で良いですね。 ...
  • 困難とは特効薬か、麻薬か -『錬金術師の消失』感想

    ※例によってばっちりネタバレになる部分を引用しているので任意で読んでください。 「エミリア! 時間もないからさっさと栄養補給だ! あと滅法熱い紅茶も淹れてくれ! さぁ、リベンジマッチの始まりだ!」 (P364/L11~12より引用) というわけで、間髪入れずに2作目『錬金術師の消失』です。最初は惜しい気持ちでちまちま読んでいたのですが、そのうち我慢できなくなって結...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。