ミステリー
  • 立てば芍薬 座れば牡丹 綻ぶ謎は百合の花 -『昭和少女探偵團』感想

    彩藤アザミ『昭和少女探偵團』を読みました。表紙に惹かれて手には取ったものの「歴史は興味ないんだよなぁ」と一瞬怖気づき、だけど自室の本棚を思いだしてみたら普通に伽古屋圭市『からくり探偵・百栗柿三郎』とか紅玉いづき『大正箱娘 見習い記者と謎解き姫』とかあったので、なんだ杞憂かとそのままレジへ持っていきました。結論から言うと買って大正解。思っていた以上におもしろかった! ...
  • この謎を哲学せよ -『塩見﨑理人の謎解き定理 丸い三角について考える仕事をしています』感想

    甲斐田紫乃『塩見﨑理人の謎解き定理 丸い三角について考える仕事をしています』を読みました。新刊コーナーの棚で見かけて、あらすじの中に「哲学」という単語があった、という理由だけで軽率に買った1冊だったんだけど文体もストーリー展開も思っていたよりずっとやわらかくほのぼのとしたミステリーだった。楽しく読めました。 親しみやすい哲学系小説 「――丸い三角、赤...
  • なぜシロクマだったのか -『レプリカたちの夜』を考察する

    !ネタバレ注意! 本記事は一條次郎『レプリカたちの夜』について独自に解釈した考察記事です。作品の結末や核心に触れる部分を引用する場合がございますので、作品既読の方またはこれを承諾する方が読むことを推奨します。また、記載される内容はあくまで筆者個人の意見です。以上のことに同意していただける方のみ続きをお読みください。 一條次郎『レプリカたちの夜』を読んで思...
  • シロクマの投げっぱなしジャーマン -『レプリカたちの夜』感想

    一條二郎『レプリカたちの夜』を読みました。突然ですが、私は子供の頃、父に足首をつかんでそのままブランコのように前後に揺らすかぐわんぐわんぶんまわしてもらうのがめちゃくちゃ楽しくて好きでした。公園にもそういうぶんまわし遊具あったけど今は撤去されちゃったなぁ。鳥かごみたいなやつ。どうしてそんな話になるかというとそういう小説だったからです。投げっぱなしジャーマン。話を聞いた知人からブログタイトル...
  • 人と人とはトオリヌケ キンシ -『トオリヌケキンシ』感想

    加納朋子『トオリヌケキンシ』を読みました。先々週くらいに書店へ行ったとき例のごとく知人に適当に数冊小説を見繕ってもらったのですが、そのうちの1冊がこれで、私も書架をまわっているあいだに気になった1冊。見れば作者は『カーテンコール!』の加納氏だし、私と知人どちらの目にも留まるということはこれまで一度もなかったので絶対に良作だろうと確信して買ったら本当に良作でした。 ...
  • 無理難題の舞台で踊れ -『タイトルはそこにある』感想

    堀内公太郎『タイトルはそこにある』を読みました。「担当編集者が繰り出す五つの難題を前に、鬼才はいかなる作品を書き上げたか?」という帯の宣伝文句に惹かれて購入しましたが、うーん、小説技法としての個性や巧さには目を丸くするものの物語性に乏しく思っていたような読後感を得られませんでした。とはいえ、これは私が勝手に期待の仕方を間違えてしまっただけなので感想は責任を持ってしっかり書きます。 ...
  • マーブルにしか染まれない -『岩窟姫』感想

    近藤史恵『岩窟姫』を読了。所用で渋谷に行ったとき、ふらりと立ちよった書店で連れが見つけてきて「アイドル」の文字に惹かれて購入してきたものです。前回の記事をどのタイミングで書こう、どのタイミングでUPしよう、と、うにょうにょ悩んでいるあいだひそかに水面下で読み進めていました。落差がすごい。昨日まで鼻血ぶしょあ!とかアホみたいな記事を書いていたなんて信じられない。結婚式の翌日にお葬式に...

    2018年2月16日

  • この空のむこうに宇宙人はいる -『それは宇宙人のしわざです 竜胆くんのミステリーファイル』感想

    葉山透『それは宇宙人のしわざです 竜胆くんのミステリーファイル』を読了。例のごとく、勧めてくる小説がことごとく私にハマらないことでおなじみの知人から「これは?」と書店で差しだされた1冊。表紙のデザインがめちゃくちゃ好みだったので二つ返事で購入したのですが、お、おもしろかった…。3時間読みふけってあっというまに完走してしまった。くっそー。  *:・゜。*:・...

    2018年2月16日

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。