月別記事一覧:2021年12月
  • 2021年に読んだおもしろかった小説10選

    2021年に読んだ小説50冊の中から、とくに印象に残っている、おもしろかった小説を10冊まとめました。お歳暮感覚でどうぞ。時期、余裕で過ぎてるんですけど。 1.ショーン・タン『内なる町から来た話』(岸本佐知子・訳) ①今年最初に読んだ ②デカ重たくて小説なのかよくわからない 以上2つの理由から印象に残っている作品。もちろん、内容が私好みの動物にまつわる不思議...

    2021年12月29日

  • 絶妙な距離感&存在感で現代に適合した究極の妖怪〈怖ガラセ屋サン〉に震えろ -『怖ガラセ屋サン』感想

    澤村伊智『怖ガラセ屋サン』を読みました。リアリズム、詐欺、イジメ、怪談ビジネス、芸能界、大病……さまざまな境遇におかれすっかり恐怖を軽んじるようになってしまった人々にとっておきの恐怖を突きつける〈怖ガラセ屋サン〉にまつわる連作短編集。ホラー小説を読んで窒息しかけた過去があるのに澤村産ホラーだけなぜか着々と新刊を追っている私も、まぁ、ホラーっちゃホラー。 大人になって「...

    2021年12月28日

  • 良い女と書いて「娘」という、呪縛 -『あさひは失敗しない』感想

    ネタバレ注意! 本記事は真下みこと『あさひは失敗しない』の重要な部分または結末について触れていますので、作品を既読である、またはネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。 真下みこと『あさひは失敗しない』を読みました。母が娘に授けた言葉は、愛か、呪いか。女性だけでなく、母親という存在に閉塞感を覚えるすべての「子供」に読んでほしい普遍の自立の物語です...
  • 貧困はきっと、思考の停止からはじまる -『らんちう』感想

    ネタバレ注意! 本記事は赤松利市『らんちう』の重要な部分または結末について触れていますので、作品を既読である、またはネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。 赤松利市『らんちう』を読んだあとのアウトプットです。「殺されて当然」とすら思ってしまう支配人の強烈な手腕と性格、従業員たちの口からサブリミナル的に聞かされる自己啓発セミナーの異様な光景、その...
  • 思索、ハイコンテクストで生き残るには

    めるはば、佐々木麦です。 4作品を応募したショートショートnote杯の結果発表がありました。落ちるのは全然想定したいたのでちょっとしか落ちこまなかったんですけど、そのあとの反省会が有意義な思索になったので読者諸兄姉と共有したく。 なお、机にむかう前風呂に入ってギャグマンガ日和を読んでいたので視界の端に聖徳太子がチラついています。どこまであの反省会を文章化できるかわかりま...

    2021年12月14日

  • 人は得てして、なりたいものになれない -『偽恋愛小説家、最後の嘘』感想

    森晶麿『偽恋愛小説家、最後の嘘』を読みました。前作からどのぐらいぶり?うそ、5年……?控えている積ん読のリストがえぐいので今回はとくに前作・前々作の再読とかはしなかったんですけど、それでもすんなり文章や世界観に入っていけました。正味1日で読んじゃったな。さすが森晶麿。いや、森センセ。 今回は作家・星寛人がSNSの公式アカウントにて「最高傑作ができてしまった」とつぶやいたことから各出版...
  • クリスマスは「誰と」過ごすかじゃなく「なにをして」過ごすかを大事にする日 -『通い猫アルフィーの贈り物』感想

    レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーの贈り物』(中西和美・訳)を読みました。シリーズ7作目。新刊の存在自体は11月の段階で知っていたんですけど、クリスマスの話ということで、12月になってから読もうとこのタイミングになりました。 5、6作目の感想が抜けているのはおもしろくなかったからではなく感想を書くためのテーマが自分の中に見つけられなかったからなんですけど、今回は久しぶりにアルフィ...
  • 優しくするのが恋。赦すのが、愛。-『水たまりで息をする』感想

    高瀬隼子『水たまりで息をする』を読みました。読了から一晩経ちましたが、なんか、すごいものに出会ってしまったなぁという気持ちです。久しぶりに。初めて今村夏子の『あひる』を読んだときみたいな。とても現代的で、かつ寓話的でもあり、まさしく水たまりのような意図的につくられた芸術的な閉塞感。 そういえば、雰囲気は『星の子』に似ているかもしれない。あちらは狂気の中にも親子の愛情があったからまだ救...
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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。