さみしい
  • 嫌いだ、泣きたいほどに -『あなたの右手は蜂蜜の香り』感想

    片岡翔『あなたの右手は蜂蜜の香り』を読みました。私は普段「好きだ!」と思った小説しか挙げないし、感想にマイナスな表現は極力使わないようにしているのですが、……悩んだけど、本書にとってこの言葉を使うことは必要なことだと思うから。だから言います。私はこの小説、嫌い。 小説としては粗削り あたしのせいで動物園に入れられたクマの「あなた」を、必ず救い出す。ど...
  • 明日、どこかの食卓で -『明日の食卓』感想

    椰月美智子『明日の食卓』を読みました。「石橋ユウ」を育てる3人の母親。そして「イシバシユウ」虐待死のニュース。ミステリー小説っぽいあらすじに惹かれて購入したのですが実際は“どこにでもある”家族小説または親子の物語です。……まぁ、だからゾッとするんですけどね。 ユウを殺したのは、私ですか? 静岡在住、専業主婦の石橋あすみ。神奈川在住、フリーライターの石...
  • 不完全な葦でありたい -『夢みる葦笛』感想

    上田早夕里『夢みる葦笛』を読みました。文庫裏のあらすじに「「人間とは何か」を問う」とあって良書の予感はしたものの、目次を見たとき「これは挫折するかもしれない」と不安もよぎり。積ん読が尽きた頃にようやくおそるおそる読みはじめたのですが、あのね、最高におもしろかった。それでは本書を読んで考えたこと約1万文字、どうぞ。 人間と世界の本質を問う短編集 ある日...
  • 記憶よ、風となり牙となれ -『風牙』感想

    門田充宏『風牙』を読みました。書店で小説を物色してまわっているとき、たまたまある1冊の小説を手にとって、その中にはさまっていた新刊案内の広告から興味をもって書店何件かまわってようやく探しだして購入した、という、ちょっと変わった出会いかたをした小説です。深夜のファミレスであまりの衝撃に呼吸することを忘れ、言葉を失い、しこたま号泣することになるとは、このとき、私はまだ知る由もなかった――。 ...
  • 1年あずけると3万6500円 -『あずかりやさん 桐島くんの青春』

    大山淳子『あずかりやさん 桐島くんの青春』を読みました。読書感想文特集2018年版でも紹介し、まだ記憶に新しい3月読了本『あずかりさん』の続編です。続編があることは知っていて、文庫化するのをうずうず待っていたのですがこのあいだ書店で念願の文庫を見つけたので即購入。積ん読の山でしばらく寝かせることになってしまいましたがとうとう読むことができました。 クオリティーは変...
  • 夏の夜 カラスの星 -『カラスのジョンソン』感想

    ドリアン助川『カラスのジョンソン』を読みました。最初タイトルを見て「カラスを題材にするの珍しいな」と手にとったあと作者名を二度見してしまった。ドリアン助川。表紙の世界観とあまりにもマッチしていなすぎてすごく気になる。初読の作者でしたが名前の印象を気持ちよくぶっこわしてくれる、私たち“生きもの”を克明に描いた詩的で美しいおはなしでした。 神の視点 小学...
  • 明日起こるかもしれない喪失 -『私の頭が正常であったなら』感想

    山白朝子『私の頭が正常であったなら』を読みました。奇妙系に仕立てたゴーストストーリーというほうがしっくりくるけど、作者は怪談専門誌出身だそうだし、ジャンルは「ホラー小説」のくくりでいいのかな。奇談というだけにとどまらず、結末の先に想いを馳せたり、登場人物たちの些細な言動にも考えさせられる粒ぞろいの作品ばかりで不思議な読み心地がクセになる1冊。超好き。 洗練...
  • 大切なものは目に見えないし、見える。 -『あずかりやさん』感想

    大山淳子『あずかりやさん』を読みました。初読の作家でしたが〈猫弁〉シリーズでおなじみの作家だそうです。タイトルだけチラと聞いたことがあるなぁ。たしか何年か前にドラマ化もしていましたよね。積ん読がいよいよ残りこれ1冊となったあとも「自分に合うかなぁ」と尻ごみして読むまでに時間がかかりましたが、なかなかよかったです。 あえての“不自由さ”がニクい! ...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
読んだ小説の感想や考察を書いています。好きが高じて元小説家志望なので、一篇の物語のように心躍る記事が書ければ。ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれます。小説の他に哲学、美術、神話などの学術本も好きです。