• とにもかくにも小説が好きだ -『小説家の作り方』感想

    野崎まどの小説はおよそ7年前に『なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る』と続編読んで以来だったけど、『小説家の作り方』もおもしろかった。とにもかくにも私は小説が好きだ。それを再認識させてくれたことに、自分がこの小説と出会って、読んだ意味があったのだと思う。 主人公とは、物語に多大な影響を与える言うなれば最も大切なファクターでしょう? その主人公の、中でも重要な要素...
  • 佐々木麦は君が好き -『麦本三歩の好きなもの』感想

    20字以内で説明できる小説はいい小説なのだと聞いたことがある、と書かれているので、挑戦してみる。 好きなものをとても大切にしている人の話。 まさか本当に20字(ぴったり!)で収まるとは思わなかった。すげ。まぁ、これから感想に100倍ぐらいの文字数使うんですけどね。 筆名が「佐々木麦」なものだから、主にタイトル的な意味でずーっと気になっていて...
  • 随想、WOMCADOLE『黎明プルメリア』について

    初夏の候、友人に勧められてWOMCADOLEのアルバム『黎明プルメリア』を聴いてみたらとてもよかったので、衝動のままに感じたことや思ったことなどあれこれ考察してみました。全13曲、長くなりますが興味がありましたらぜひ読んでいってください。 1.FRAG 順風満帆、ということわざがあるとおり船は物事の進行の象徴でもあります。 余計なものが存在しない海上において見...

    2020年5月19日

  • 星空の下、わたしたちは幸せ -『星の子』感想

    !ネタバレ注意! 本記事は今村夏子『星の子』に関するネタバレを含む可能性があるため、作品を読了している、または作品のネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。以上のことに同意したうえでお楽しみください。 初読は2019年12月なんですけど、私年末に読書合宿してまして、そのとき読んだ5冊のうちの1冊だったんですねこれ。せっかく考察がはかどることに定評のあ...
  • 感じるな、考えろ。-『動物たちのまーまー』感想

    !ネタバレ注意! 本記事は一條次郎『動物たちのまーまー』に関するネタバレを含む可能性があるため、作品を読了している、または作品のネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。以上のことに同意したうえでお楽しみください。 最近Huluで「前略、西東さん」観てるんだけど、こないだたまたまZAZYのネタを見たんですよ。そのときちょうど一條次郎『動物たちの...
  • ブログのデザインが変わりました

    未来の私へ ブログのデザインが変わりました。あとになってからあれはあったほうがいいんじゃない?これもあったほうがいいんじゃない?と未練がましくウジウジ言いだす自分の姿が目に見えているので、今回のリニューアルで排除したものと排除した理由をここに書いておきます。納得してください。 1.about Webサイトの「はじめに」のページって要は西野カ...

    2020年3月2日

  • 感想の思索、または詩作 -『坂下あたると、しじょうの宇宙』感想

    言葉について、小説について考える小説が好きだ。そんな理由で町屋良平『坂口あたると、しじょうの宇宙』を手にとったのだけれど、「好き」か「嫌い」かで問われたら答えるのが難しい。文体や展開に自分の考える「純文学っぽさ」がまんまあって、物語として見た場合に「おもしろかった!」とは言えない。言えないんだけど。 なんであたるの声だけ聞こえるんだ? おれたちの発する雑音に汚されても、こんなにハッキリし...

    2020年2月27日

  • 本当に、箱とキツネとパイナップルの話 -『箱とキツネと、パイナップル』感想

    ある小説家が以前、タイトルは小説にとってもっとも長期的に打てる広告、みたいなことをTwitterに投稿していた。かえってそれを意識しすぎているのか、映画のポスターなど、日本の広告は情報を過度に説明しすぎるきらいがある。出版業界でいえば、文章がそのままタイトルになってしまうことも今や珍しくない。 その観点からすると、村木美涼の小説『箱とキツネと、パイナップル』は巧いタイトルだなとつくづ...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。