月別記事一覧:2018年07月
  • 夏の夜 カラスの星 -『カラスのジョンソン』感想

    ドリアン助川『カラスのジョンソン』を読みました。最初タイトルを見て「カラスを題材にするの珍しいな」と手にとったあと作者名を二度見してしまった。ドリアン助川。表紙の世界観とあまりにもマッチしていなすぎてすごく気になる。初読の作者でしたが名前の印象を気持ちよくぶっこわしてくれる、私たち“生きもの”を克明に描いた詩的で美しいおはなしでした。 神の視点 小学...
  • なるほどこれは“ごはん”小説 -『キッチン・ブルー』感想

    遠藤彩見『キッチン・ブルー』を読みました。前回読んだ『広告狂想曲24時間』などを購入したときに一緒に書店へ行った知人に頼んで1冊選んでもらったもの。なるほど、ファッション雑誌を読んでいるタイプのOLが手にとりそうな表紙なのでこれはたしかに私だったら素通りしていた。偏見がすごい。「ごはん小説」というワードに惹かれて軽い気持ちで読みはじめたけど、思っていた以上にほっこりできて良作でした。 ...
  • コーヒーの苦味を飲みこめない -『広告狂想曲24時間』感想

    松本周『広告狂想曲24時間』を読みました。最近知人が小説を書きはじめまして、元小説家志望の端くれとして私もその推敲、校正、その他アドバイスなどサポートをしているのですが、その小説がビジネス小説を軸にしているので分野研究を兼ねて手にとった1冊。とっつきやすいページ数とストーリーでサクサク読めたし、ビジネス小説としての緩急のつけかたや〈上司〉〈クライアント〉といった定番キャラクターのステレオタ...

    2018年7月19日

  • ぼくはリス きみはだあれ? -『きげんのいいリス』感想

    トーン・テレヘン『きげんのいいリス』(長山さき・訳)を読みました。『ハリネズミの願い』の作者による幻の原点ということで書店で見かけたとき、読もうかな、どうしようかな、独特の世界観だからまとまった感想が書けるかどうか…と悩みながらページをパラパラしていたのですが、結局25Pくらいまで読んでいた。もう買えよ。買いました。 読んだことないけどシャフリヤール王 ...
  • 恋愛小説が苦手な人のための2つのソリューション提供

    以前、桜川ヒロ『完璧主義男に迫られています』を読んだときに「結構おもしろいじゃん、恋愛小説」と堂々書いたわりに、あれからやっぱりまったく読まないので、人はどうしたら恋愛小説を読むだろうということをわかばと協議した結果、2つのソリューションが生まれたのでご報告します。サムネを見ていただくとわかるとおりふざけています。大丈夫問題ない。なぜならこれが平常運転だから。 ...

    2018年7月8日

  • 無理難題の舞台で踊れ -『タイトルはそこにある』感想

    堀内公太郎『タイトルはそこにある』を読みました。「担当編集者が繰り出す五つの難題を前に、鬼才はいかなる作品を書き上げたか?」という帯の宣伝文句に惹かれて購入しましたが、うーん、小説技法としての個性や巧さには目を丸くするものの物語性に乏しく思っていたような読後感を得られませんでした。とはいえ、これは私が勝手に期待の仕方を間違えてしまっただけなので感想は責任を持ってしっかり書きます。 ...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。